八門と紫白九星
木下琢啓先生から水野杏紀『江戸末期の土御門家と陰陽書出版について』を教えてもらった御蔭で日本の九星術、つまり紫白九星を使って命占や卜占を行い移動による開運法まで含む術、はおそらくは土御門晴親を中心に斉政館門人達によって作られてものだろうという推測が出来上がった。
この九星術は白井為賀が書いた『陰陽方位便覧』で市中に広まったけれども、慶應元年(1865)に出版されたこの陰陽方位便覧の前に『齊政館蔵版』の『陰陽方位便覧』が文化十一年(1814)に出版されている。木下先生が『齊政館蔵版陰陽方位便覧』の美本を入手されて、その1部が twitter(X) にアップされていた。
「三元九星」についての記載部分の最初。しばらく進むと「陰陽権介安倍晴道云…」と出てくる。やはり晴道党は後世の土御門家(※安倍泰忠 系)にも影響を遺した事が解る。
https://t.co/XnTwHThtHS pic.twitter.com/6dvhzdXk4n— takuhiro (kinosy) (@Kino_see) August 16, 2023
三元九星
五要奇書に日三元九星紫白を以て吉とす其原は黄帝遁甲經にはじまる。
八門の内休生景開を吉とす故に九星の中一白六白八白九紫を吉とす。
○一白
●二黒
●三碧
●四緑
●五黄
○六白
●七赤
○八白
○九紫
一白炊水、二黒坤土、三碧震木、四緑巽木、五黄中土、六白乾金、七赤兌金、八白艮土、九紫離火、を主るなり。
上元一白に甲子を起す。中元四緑、下元七赤に甲子を起し順飛するなり。
凡修造の方向、大将軍金神等の凶煞臨坐ハ大凶なりといへども、紫白の吉星巡重れバ妨なし。
又拾芥抄に陰陽権介安佶晴道云、大将軍金神七殺方の㕝三白九紫の方に当る時は忌なしといへり。
本邦にても古昔より紫白吉星を用
という感じで、八門の吉凶を使って紫白九星の吉凶を説明している。これは現代中国の「八八発財、六六大通」と通底しているだろう。土御門晴親と斉政館門人は奇門遁甲を理解していたと考えて良いと思う。少し想像を逞しくするなら、本命九星で紫白でも使うことができない星があるように、本命九星によって使えない八門がある可能性がある。
例えば筆者は七赤の生まれなので、尅してくる九紫や洩らす一白は使えないことになる。そして使うなら八白になる。
*1:読めてない部分がある。