八宅の変爻法

案外応用範囲が広い

この前の4月20日に『陰陽道史研究の会』の春の研究会に参加してきた。今回は午前中に土御門家菩提寺である梅林寺の見学会があって色々と盛沢山だった。梅林寺の本堂に上がらせて頂くというめったに無い体験もできた。貴重な御機縁を作って頂いた梅林寺さんには感謝している。

午後から研究報告が2件あった。1つは牛頭天王研究会から、奈良県の飽波神社の夜法会やぼえとよばれる神事についての報告だった。飽波神社は聖徳太子牛頭天王を祀ったのに始まるという伝承を持つ神社で、牛頭天王といえば陰陽道なわけで夜法会も蘆屋道満の修法に起源を持つと言われている。もっともこの説は俗説で、伝承を遡って行くと一筋縄では行かないようだ。

もう1つが平安期の文学作品に現れた陰陽師やいわゆる陰陽道がどのようなものだったかという、非常に面白いテーマで紫式部日記を丹念に読み込んだ研究だった。ただ占い師としては研究のテーマよりも興味を惹かれたものがあった。

それが資料として引かれた『外台秘要法』所収の『崔氏年立成図法』の妊婦の禍害、絶命、生気だった。この法では年齢に対して小成八卦を配して、それから禍害、絶命、生気となるものを出す。『外台秘要法』は唐の玄宗の時代の医書で752年に上梓されている。

離卦が配当されるのは、16、24、32、40、41、48歳で少々変則的な配当になる。八卦の順番は離卦を起点に後天八卦を右回りに回って行く感じだ。そして離卦の禍害は艮で離卦の下爻変、絶命は乾で中爻変、生気は震の上爻変となっていて、八宅の大遊年変爻法と全く同じになっている。

八卦禍害絶命生気
離☲ 艮☶下爻変 乾☰中爻変 震☳上爻変
坤☷ 震☳下爻変 坎☵中爻変 艮☶上爻変
兌☱ 坎☵下爻変 震☳中爻変 乾☰上爻変
乾☰ 巽☴下爻変 離☲中爻変 兌☱上爻変
坎☵ 兌☱下爻変 坤☷中爻変 巽☴上爻変
艮☶ 離☲下爻変 巽☴中爻変 坤☷上爻変
震☳ 坤☷下爻変 兌☱中爻変 離☲上爻変
巽☴ 乾☰下爻変 艮☶中爻変 坎☵上爻変

つまり唐の玄宗に時代には、八宅の理気が完成していて他の分野にも応用されていたということなのだろう。