カルチャーセンター斉政館

陰陽五要奇書と土御門家

福山リビング新聞社がやっているリビングカルチャー倶楽部で開かれている陰陽道の歴史の講義が昨日の『陰陽道の日本史 近現代編』で最終回だった。講師は在野とはいえ陰陽道史研究の会で議事録作成を任されている木下琢啓先生だ。今回も色々と発見があった。

江戸時代後期に入ってすぐの頃に土御門晴親*1は『斉政館』という塾を開いて占術の講義や古典の出版を始める。これが功を奏して『斉政館』は多くの門人を集めることになった。出版物としては、

  • 斉政館蔵
    • 『大学解』(儒教書)
    • 『星圖歩天歌』(天文書
    • 『暦学疑問』(暦書)
  • 斉政館蔵版(翻刻による出版)
    • 『陰陽五要奇書』

などがある。そして土御門晴親は出版した『陰陽五要奇書』に熱い序文をつけて『陰陽五要奇書』を持ち上げるとともに、安倍*2家の格式と正当性を滔々と語った。中国ではそんなに重視されてないらしい『陰陽五要奇書』が日本では「九星をやるならこれだろ」みたいな扱いを受けているのは土御門晴親の序文に始まるのかもしれない。

余談だけど予定では以下の書籍の出版が計画されていたそうだ。

  • 通徳類情
  • 秘笈通書
  • 協紀辨方書
  • 趨吉便覧
  • 地理全書
  • 崇正通書
  • 地理全書
  • 三才発秘

言わずもがなだけど、『地理全書』の地理は「天に天文、地には地理」の地理で風水のことだ。
これらがちゃんと出版されていれば、その後の展開も変わったかもしれない。

*1:1788-1842年 ほぼ徳川家治の治世と重なっている。

*2:土御門