九宮貴神

飛泊するもの

太一*1、摂提、軒轅、招揺、天符、青竜、咸池、太陰、天一*2は九宮貴神と総称されている。天符と太陰を除くと全てが実在天体の名前だろう。

招揺と摂提は北斗の柄の3星から採られている。招揺は破軍星の古名だ。軒轅は黄帝の名前だけど、軒轅という星も実際にある。太乙は歳差運動のせいで今は外れてしまったけど昔は北極星だった。

青龍と天乙は様々なものが折り重なっているけれども、やはり星から来ている。@nifty時代に玄珠さんが確か『さすらいの天乙』という連載をしていた記憶がある。このシリーズは術数研究の泰斗である李零教授の説を引きながら、天乙や青龍で表記される折り重なった象を丁寧に紐解いて行く労作だ。

なお太陰は月のことではなくて歳星の陰である太陰だろう。咸池は古い凶煞で災煞もこの名前でよばれていた時期があったと記憶している*3。多分、この名前の星もあるんじゃないだろうか。天符は知らない。

で、この九宮貴神は太一、摂提、軒轅、招揺、天符、青竜、咸池、太陰、天一の順序で飛泊するので、紫白九星の原型ではないかという話もある。まあ実際、図にしめした定位を考えると以下の対応関係はあるだろう。

九宮貴神 太一摂提軒轅招揺天符青竜咸池太陰天一
紫白九星 一白二黒三碧四緑五黄六白七赤八白九紫

ただ紫白九星が本来持っていたであろう吉凶と九宮貴神のそれとは食い違いがあるし、飛泊するのに洛書の魔法陣の数字が名前に入ってないことを考えると、表記の古めかしさから安直に九宮貴神が紫白九星の古い名前とは言い難い所があるのは事実だ。

*1:太乙

*2:天乙

*3:あんまり当てにはならないけど。