易経

易経』と一口に言うが、これは『経』と『伝』の総称だ。『経』の部分の原初の姿は卦画と爻辞しかなかった。卦辞と卦名ができたのは少し新しいというのはこれまで書いて来た通りだ。経は上経と下経に別れている。

さて『伝』の部分だが、これは古来から『十翼』と言って、

  • 上彖伝
  • 下彖伝
  • 上象伝
  • 下象伝
  • 上繋辭伝
  • 下繋辭伝
  • 文言伝
  • 説卦伝
  • 序卦伝
  • 雜卦伝

から構成されている。この中で上下の彖伝と上下の象伝は、最近では経の中に組み込まれていることが多い。ただこのことを以て、彖伝や象伝が一番古いとは言えないだろう。彖伝や象伝は小成八卦に基づいている。小成八卦は大成六十四卦へのインデックスとして作成されたと考えられ、この点では大成六十四卦のまま扱っている上下の繋辭伝の方が古いと考えることができる。

序卦伝や雑卦伝も大成六十四卦をそのまま扱っているので、かなり古い可能性がある。また文言伝は乾坤の二卦に付けられたものなので、どれくらい古いかはよくは判らない。

もっともこれらの伝はどれも重要で、特に説卦伝は周易で射覆をやる人にとって必須だろうし、後天八卦方位はこの説卦伝が基になっていると考えられるので、これまた重要だ。