童限

童限法と“Primary Progressions”

紫微斗数で大限の第一運が始まるまでは童限を使うことになっている。

  • 虚歳1歳は命宮
  • 虚歳2歳は財帛宮
  • 虚歳3歳は疾厄宮
  • 虚歳4歳は夫妻宮
  • 虚歳5歳は福徳宮
  • 虚歳6歳は官禄宮
  • 虚歳7歳は田宅宮
  • 虚歳8歳は父母宮
  • 虚歳9歳は兄弟宮

となっている。実のところ火六局の場合に虚歳6歳から大限の第一運となるので、虚歳5歳までの童限があれば充分なのだが、虚歳9歳までの童限はこうなっている。私の場合は命宮が丑宮なので、童限宮は丑、酉、申、亥、卯、巳、辰、寅、子と変化して行くが、この並びからは規則性があまり感じられない。

ところが紫微斗数にはホロスコープ占星術の尻尾が、かなり残っているのではないか?ということで、少々想像をたくましくしてみることにすると、ホロスコープ占星術におけるハウスの順番として読み替えられる可能性がある。命宮1室は卯地、財帛宮2室は寅地、という感じで読み替えて行くと、卯、寅、申、酉、巳、午、子、辰、丑という順番が得られる。卯−寅、申−酉、巳−午の隣合った組み合わせが特徴的に見える。

ただまあ、この並びから何かが言えるわけでもないので、この童限もまたホロスコープ占星術の尻尾の一つかもしれないという提示でしかないが。

ところでホロスコープ占星術には“Primary Progressions”という技法がある。これは月の公転周期と地球の公転周期の比から得られる13.39を使って、出生後1年の変化を出生時から13.39日後のホロスコープから読み解くという技法である。この“Primary Progressions”は7〜8歳くらいまでの幼児期に使用するものとされ、ホロスコープ占星術における童限法と言って差し支えないだろう。13.39日間に月は平均的には176°くらい移動するので“Primary Progressions”では、1年毎に反対のサインに移動することになる。

もっとも

“Primary Progressions”の技法は古典的な西洋占星術にはなかったようなので、おそらくはアラン・レオ辺りがインド占星術から持ち込んだものなのだろうと考えている。一方で、『紫微斗数全書』の大限法は現在一般的な大限の第一運を命宮とする方法ではなく、命宮干支の五行局で決まる期間から命宮を大限宮とする方法となっている*1。この大限法の変遷は、童限法が確立したことを受けたものではないだろうか。

こういったことを考えると、紫微斗数の原型が成立した後もインドから直接ないし西洋経由でインド占星術紫微斗数に影響を与え続けたのではないだろうか。大限宮を命宮としてハウスを振り直す『動盤法』もまたインド占星術の影響を受けて成立した技法のように思われる。

*1:泰山全集の『神秘聖学天文紫微運命学』の大限法はこの古法を採用している。