五行と音

西洋であればピタゴラス音階をサインに当てはめて、ダイアトニックな7つの音をカルディアン・オーダーに従って古典的な七惑星と対応付けることになるだろう。基準となる音をCとして、C=土星、D=木星、E=火星、F=太陽、G=金星、A=水星、B=月、という具合だ。ピタゴラスが伝説通りにこの音階を見つけたのなら、ピタゴラスは狂喜乱舞したのではないだろうか。自然に調和する音階が12のサインにダイアトニックな7音が古典的な七惑星に対応しているのだ。

ここで日本の演歌でも採用されている四七抜きをすると上手い具合に太陽と月が抜けてくれて、C=土星、D=木星、E=火星、G=金星、A=水星の五行と対応する5惑星の音が残る。

中国の音階は、宮商角徴羽の5音から構成されているが、この5音と五行の対応付けは古くから、宮=土、商=金、角=木、徴=火、羽=水とされていて、五行の生成順序を逆に辿ったものとなっているけれども、最近密かに宮=土、商=木、角=火、徴=金、羽=水のカルディアン・オーダに従った対応付が本来のものだったのではないかという疑問を持っている。

何故、こんな疑問を持つようになったかというと、納音の計算方法に色々疑問があるからだ。納音の計算では甲子、乙丑といった陽陰の干支をまとめて計算することになっている。これはおそらくだが、ダイアトニックな音と半音上がった音をまとめてしまっているのではないだろうか。ただこれは子丑、寅卯、までは上手く行くけれども、辰巳はどちらもダイアトニックな音になってしまい次の午がノンダイアトニックな音になってしまう。この現象が、断易における火珠林の納甲法の奇妙な部分の原因ではないかと考えているのは以前書いた通りだ。

そこで無理やりだが、午からは子から始まるのを繰り返すことにする*1。もっともそうしたところで辰巳と戌亥の組み合わせはイレギュラーなことになる。これが貴人法の順逆の境界と一致しているというのは興味深いところだ。

さて納音の計算では干支の太玄数を加算して5払いして得られた数を五音と対応付ける。甲子・乙丑は9+9+8+8=34となって5で払うと4が残る。4は金となる。ただこの5で払って残った数と五音との対応付けがなんというかモヤモヤするものとなっている。1=火、2=土、3=木、4=金、5=水という具合だ。このモヤモヤから五音と五行の対応付けには、様々な混乱と紆余曲折があったのではないかと想像している。

*1:このやり方が火珠林の起源ではなかろうか?