陰陽屋へようこそ

よろず占い処 陰陽屋へようこそ』という連続ドラマが放映されている。元ホストの『安倍祥明』が主人を務める『陰陽屋』に毎回様々な問題が持ち込まれて、安倍祥明がそれを解決するという1話完結型のドラマだ。祓いやマジナイのシーンが入ることもあって、陰陽道北斗派宗家*1高橋圭也さんがその祓いやマジナイで使用する作法を創っているそうだ。迂闊に本物を出すとマネをする人が出て危険というのが『創って』いる理由だそうだ*2

うろ覚えだが高橋さんは、この『陰陽屋へようこそ』では主人公のキャラ作りにも関わっているとtweetしていたと思う。その現れの一つと考えられるのが主人公の呼称で、ドラマの中で『安倍祥明』は“アベノショウメイ”と自称しており、周囲も“ショウメイ”と呼んでいる。しかし唯一幼馴染みだけは“チアキヨシアキ”と呼んでいる。実は、陰陽師として有名な『安倍晴明』は音読みで“セイメイ”と呼ばれているが、存命中何と呼ばれていたのかは判ってない。こういうところにも高橋さんのコダワリが透けて見える気がする。

ドラマの中の『安倍祥明』は、金にはがめつくて世の中を斜に構えて見ている、でも割と遠くまで見通していて、しんどいことは他人に任せて自分は楽な方法で正解にたどり着き、人の心を操作するのが上手くて、そのせいでピュアな人*3からは嫌われ、でも本当のところは人助けは嫌いじゃない、そして資料収集には金を惜しまない人物として描かれている。そして案外常識人で、祓いはやマジナイは人の心に作用すればそれで善しとしている。この人物造形が『陰陽屋へようこそ』の原作とどう違うのかは原作を読んでないのでなんとも言えない。

で私の勝手な印象だが、この『世の中を斜に構えて見て』『でも割と遠くまで見通していて』『本当のところは人助けは嫌いじゃ』なくて『資料収集には金を惜しまない人物』で高橋さんの周囲にいる人物には強い心当たりがある。我が畏友、大石真行さんだ。大石さんと身近に接したことのある人なら頷いてもらえる思う*4。まぁ、原作を含めて様々なキャラクターを複合させて安倍祥明は造形されたのだろう。

今のところTVドラマとしては割と気に入っている。

*1:明治5年(1872年)に発せられた太政官布告によって天社神道の布教が禁止され、天社神道の布教者でもあった公式の陰陽師は存在しなくなった。そのため高橋圭也さんは、陰陽師と同じことができるのだが、決して『陰陽師』を自称しない。この陰陽道北斗派宗家というのは高橋さんのギリギリの妥協の産物のようだ。

*2:マネしても害がなくて、雰囲気だけは出てる贋物を作るのも結構大変らしい。

*3:ようするにオコチャマ。

*4:といっても高橋さんが安倍祥明の造形に当たって大石さんを参考にしたかも、というのは私の勝手な想像で高橋さんに聞いてみたわけでもなんでもない。