三分損益法は、中国におけるピタゴラス音階の生成方法で、ピタゴラスが一弦琴を使ったのに対して、管を使用している。元の管からその長さの3分の1を取り去って3分の2の長さとする。これが三分損に対応している。新しい管は、元の管の1.5倍の振動数の音を出す。もしこれが大元の管が出す音の倍音よりも高い振動数の場合には、管の長さを2倍にすることで、倍音よりも低い振動数とする。これが三分益に対応している。
もう少し詳しくいうと3分の2の2倍は3分の4なので、元の管にその3分の1の長さの管を増設したことに相当する。これが三分一益で『益』である。元の3分の2の長さにするのは、元の管から3分の1を切り取ることなので、三分一損となる。これが『損』である。
この操作を使って音を作っていくと13番目の音が基準音の1.013643倍の振動数となる。近似的にこれで基準音となったとすると、基準音とその倍音の間を12分割したことになる。そこで作成した音の振動数の順番に並べなおして、十二支とそれに対応する音を当てはめていく。音の当てはめにについてはペンギンラボさんのところの『ガクテン』を参考にした。
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番号 | 三分損 | 損益 | 十二支 | 音 |
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1 | 1.000000 | 1.000000 | 子 | レ |
2 | 1.500000 | 1.500000 | 未 | ラ |
3 | 2.250000 | 1.125000 | 寅 | ミ |
4 | 1.687500 | 1.687500 | 酉 | シ |
5 | 2.531250 | 1.265625 | 辰 | ファ♯ |
6 | 1.898438 | 1.898438 | 亥 | ド♯ |
7 | 2.847656 | 1.423828 | 午 | ソ♯ |
8 | 2.135742 | 1.067871 | 丑 | レ♯ |
9 | 1.601807 | 1.601807 | 申 | ラ♯ |
10 | 2.402710 | 1.201355 | 卯 | ファ |
11 | 1.802032 | 1.802032 | 戌 | ド |
12 | 2.703049 | 1.351524 | 巳 | ソ |
13 | 2.027287 | 1.013643 |
そして最後に、音を作って行った順番に十二支と音を並べ直してみる。すると、子→未→寅→酉→辰→亥→午→丑→申→卯→戌→巳という順序が得られる。子と未は通常は害の関係で悪いとされるが、レとラの響きが好いことから、子と未の関係はどちらかというと好い関係ではないかと推測できる。実はこの事柄は中国でも大陸では伝承されているらしく、陳先生から聞いたことがある。
音の順序から得られる関係は210°もしくは150°がイージーもしくはラッキーなアスペクトを構成しているのではないかと推測させてくれるが、今のところは推測の域を出るものではない*1。しかし、この関係が重要なものであったということは、六壬にはっきりとした痕跡を残している。
- 三伝が卯戌巳となるのは断輪格である。
- 三伝が巳戌卯となるのは鋳印格である。
- 次客法では前三後五で、月将支もしくは時支を変化させるが、後五はまさにこの関係をしめしている。