八代での戦利品

図録を幾つか購入した

3月24日に八代で玄聖院様を御借りして六壬の講義をしてきたのだけど、講義は午後からだったので午前中に博物館の『未来の森ミュージアム』に行ってきた*1。丁度令和5年度冬季特別展覧会の『武将の備え』の最終日だった。展示も面白かったけれども、図録に興味を惹かれるものがあったので幾つか購入した。

この絵は、八代城主二代目の松井興長(おきなが)の像の一部で、『もののふの美と心』展の図録から拝借した。図の全体はもっと縦長で上部にこの図像の由来が漢文で書いてある。

興長が羽織っている陣羽織は、江戸城御手伝普請で功があったことから家光からの拝領の品だ。図録の説明ではこの陣羽織や周囲の武功をしめす品々に焦点が当たっているけれども、占い師としては軍配に目が行く。

中央の円を取り囲むように星と思しき小さな丸が描かれているが、数えてみると28個あった。当然、二十八宿なんだろうと思う。ただこの軍配についての調査は行われていないようで、学芸員らしい人も軍配に何が描かれているのかを把握していないようだった。

小和田著『軍師・参謀 戦国時代の演出者たち (中公新書) 』で触れられているように、軍配には簡易な占いのための機能が付加されていることがあった。

*2
朔望月の日付の吉凶が描かれた酒井忠次の軍配が有名だが、松井興長の軍配もその類だろう。命のやり取りをする戦場では縁起を担ぐことも重要だったし、敵がどのような縁起を担いでいるのかを知って、その裏をかくこともまた重要だった。

*1:すごい雨だった。

*2:安城市歴史博物館『特別展 安城譜代一 徳川の支柱酒井氏 左衛門尉家と雅楽頭家』図録37頁より