また出雲に行ってきた

仕事だと出向く方が性に合ってる

紫微斗数では官禄宮に天馬があり、私の場合は仕事とか自己実現方面では自分から出向く方が性に合っている。再度、出雲に出張講義に行ってきた。どうも車の運転は好きらしい。今回は途中寄り道をして府中市*1木下先生を訪ねて、陰陽道研究の最前線について色々話を聞かせてもらった。私の感覚では「平安時代摂関期に確立した陰陽道*2は、仏教と並ぶ勢力を持ち貴族の生活に強い影響力を発揮した」という見解が主流ではないかと思うのだが、木下先生はこの見解に強い疑問を持っている。

  • 歴史や先例に詳しい文章家から陰陽道による決定に対して異論が出ることがままある。
  • 密教陰陽道の技術を取り込んで、禁止されていた占い方面に進出してきている。
  • 摂関期には堂上家の意向に逆らうだけの見解を陰陽道は確立できていなかったようだ。逆に陰陽師堂上家に振り回されていたのではないか。

といった感じだ。これらの疑問から、

  • 陰陽師は歴史や先例に詳しい文章家から、占いの技術者として生み出されたのではないか?
  • 賀茂保憲の『暦林』や安倍晴明の『占事略决』は、定説が確立していなかった陰陽道に対して、スタンダードを提供するというのが、執筆動機にあったのではないか?

という派生した疑問も持っている。木下先生は何度も名田庄にも調査に行っていて、天社神道の藤田庁長からも信頼されていると聞く。

今回、お土産に天社土御門神道本庁陰陽道部編の運勢暦を頂戴した。表紙に鎮宅霊符神が描かれているのが特徴で、この表紙の運勢暦は名田庄でしか入手できないそうだ。ただ暦の元締めであった土御門の流れだけあって、暦のデータを購入して自分の所で出版している所はそれなりにあるそうだ。

鎮宅霊符神には玄武と剣のモチーフが必ずある。これは以前発見された銅板の鎮宅霊符でも同様で、神像はないが玄武と剣が描かれている。玄武は北の守護神で剣は北斗七星をあらわしている。

つまり鎮宅霊符神は北極星を神格化した神で、玄天上帝をオリジンとしているということになる。玄天上帝も北斗七星である剣を持っている。ということで、鎮宅霊符神を仏教が取り込んで尊格化すると妙見菩薩ということになる。妙見菩薩が菩薩であって明王でないにも関わらず剣を持っているのは特徴的だ。

余談だけど出雲に行ったついでに祈祷を御願いしてきた。前回の出雲行で大国大神の御神威に感応する事が判ったので、御願い事をしてみる気になったわけだ。ちょっと祈祷料を奮発したところ写真のような立派な木箱を授与して頂いた。多分中に御札か何か入っているのだろう。
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*1:広島県府中市

*2:官庁としての機関の名称ではなくて占い等の技術体系の総称、あるいは技術者である陰陽師の集団の呼称。