金口訣六壬

六壬のバリエーション

六壬神課には様々なバリエーションがある。普通の六壬をバリエーションと区別するために『大六壬』とよぶことがあるくらいバリエーションがある。例えば『中六壬』なんていうものもある。小六壬六壬のバリエーションと言って良いかはビミョーなところだ*1六壬のバリエーションで一番重要なのは『金口訣六壬』だろう。

通常の六壬では、1刻2時間内は同じ天地盤、同じ課式になる。金口訣六壬では、地分というものを導入することで、1刻2時間内でも自在な対応が可能となるように工夫がされている。伝説では孫臏が戦場で使用するために大六壬をベースに改編したとされている。

金口訣六壬については『金口訣六壬占数法』という凄い本が出ているけれども、著者が、

 そこで気がついた…そうか、「売れない」本を書けばいいんだ。
 本書を読んでくれそうな層は…無。例えば、占術の専門家しか関心を持たないような内容を、占術のことばっかり考えている人間には共感できないような面から掘り下げていたりするので、結局誰も、この本を手にと手にとっても最後まで読み通すことができないのではないのか。

という方針で書いているので読み通すには割と根性がいる。もっとも六壬に慣れた人間なら、本書の115ページの、

「地分の遁干」・「地分についた貴神」・「地分上の天盤」・「地分」

だけで、金口訣の課式のキモはつかめる。『貴神』は天将の金口訣での呼名で、ややこしいことに金口訣では天盤十二神を『将』とよんでいる。なので将への遁干を将干とよんでいる。

金口訣の面白いところは、地分と言いつつ天にも地にもなるというところだろう。地になるというのは「地分上の天盤」を取っていることから明らかだし、天にもなるというのは金口訣では、地分についた貴神を使用しているし、地分への遁干は旬空のない五鼠遁を使っているからだ。そして課式の五行の相生相剋から吉凶を判断して、将と貴神から象を取る。

今、通常の六壬神課と金口訣を併用してみてはどうかと考えている。

*1:これについては『六壬課時と六輝』のエントリを参照。