大運の計算方法
四柱推命には大運を計算して10年単位の運勢を見る技法がある。大運は生まれてすぐからの立運の期間は0~10年で、生まれた日によって様々だけれども、それを過ぎるとキッチリ10年で変わる*1。この立運の期間の計算方法は初心者にとっては難しいものらしい。
立運計算の基本的な考え方は「1ヶ月を10年として生まれた日時は、生まれた月が表す10年間のどの位置にあるかを計算する*2」ということだ。男命で陽年生まれ、女命で陰年生まれだと順運で前に進むので、生まれた日時から次の節入りまでの時間を計算するし、男命で陰年生まれ、女命で陽年生まれだと逆運で後ろに進むので、生まれた日時から生まれた月の節入りまでの時間を計算する。そして得られた時間が1ヶ月10年のどこにあるのかを計算する。つまり1ヶ月はおよそ30日なので、得られた時間に10を掛けて30で割ることになる。まぁ3で割ったのと同じになるわけだ。大石真行さんのように恒気法の暦を使う人なら、もっと細かく計算することもできるだろう*3。
この発想の原点は、占星術のダイレクションとかプログレスでの太陽の計算から来ているのではないかと考えている。つまり太陽が1日1年で進むため、生まれた時の太陽が生まれた時に位置していたサインを抜けるまでの時間は、生まれた時の日時で決まる。しかしその後のサインの移動はほぼ30年となる。四柱推命ではこの考え方を基に大運を作ったのではないだろうか。30年が長いのならデーカンで10年にしても善いだろう。
私はこう考えているので、西洋占星術で大運に相当するものはと聞かれると「ダイレクションとかプログレスでしょう」と即答してしまう。もっとも占星術が専門の人にとって、ダイレクションとかプログレスは期間の指標にはならないようで、古典占星術の研究家の堂坂浩二さんは、大運に相当するものとして『ファーダリア*4』をあげていた。これについて私と堂坂さんの間で短い意見のやりとりがあったのだけど、全然話が噛み合わなかったことを思い出す。
何で今更、こんな長い前振りから始まる思いで話をしたかというと、昨日、twitterでこんなtweetを見かけたからだ。
西洋占星術で強いて弱点をあげるとすれば、インド占星術のダシャーや子平の大運に相当する見方がないこと(おそらくあるはず)これを確立する人が将来的に出てくればすごいことです。ちなみに残念ながら天体の年齢域は相当しません。
— 伊藤瑛輔 (@itoeisuke85) 2019年2月14日
当然のように私は「ダイレクションとかプログレスじゃないの」とコメントしたわけだ。
ダイレクションとかプログレスが期間の指標にならないというなら、サインやデーカンから吉凶象意を引っ張れば善いと思ってしまうのだけど、それじゃダメですか?
と、ここまで読んで「まるで四柱推命が占星術起源のようじゃないか」と不満ないし疑問を持った方へ一言。四柱推命はホロスコープ占星術を中国で受容して行く中で生まれた最もニューフェイスな占術であることを断言しておく。これについてはFortunaMoonで『中国占術に残る占星術の痕跡』という演題で講義をしたことがある。