六壬神課のハウスシステム

常以月将加占時

六壬神課の解説書である『占事略决』の本文は、

常以月将加占時視日辰陰陽以立四課

で始まる。読み下すと、

常ニ月将ヲ以テ占時ニ加エ、日辰ノ陰陽ヲ視テ以テ四課ヲ立ツ

とでもなるだろう。前半は六壬天地盤の作成方法を解説したもので、言葉を補いながら占星術風に解説すると、

太陽が位置する宮であるサン・サインを占う時刻がしめす室(ハウス)に置いて、ホール・サインシステムによるハウス分割を行って作成したホロスコープ六壬天地盤である。

占う時刻は太陽時でしめされる。恒星時との兼ね合いを考えると真太陽時ではなくて平均太陽時と考えた方が善いだろう。卯刻の場合はサン・サインがそのまま上昇宮となるので命宮(1室)、寅刻はサン・サインが未昇宮の財帛宮(2室)となるといった感じになる。サン・サインがどの室(ハウス)となるかが決まれば、他の室(ハウス)も自動的に宮が割り振られることになる。

このハウスシステムは、緯度の影響を無視しているので卯宮(1室)にASCが来る保証は全くないが、結果的にはMCのある宮(サイン)が午宮(10室)となるようなホール・サインシステムとなっている。

ま、暴論だけど、このハウスシステムを使い、ASCとかMCとかは感受点として扱えば善いと思うよ。

ところでここから余談が長くなるけど、略决冒頭の後半は、

日干(これが略决の『日』)と日支(これが略决の『辰』)の陽神と陰神を六壬天地盤から算出することで一課から四課までの四課を出す。日の陽神は日干上神、つまり日干寄宮を地盤で探して、その天盤を日の陽神で一課、日干上神を地盤で探してその天盤が日の陰神で二課とする。同じように日支を使って日支上神が辰の陽神で三課、辰の陰神が四課となる。

ということになる。これをさ、

常ニ月将ヲ以ッテ占時ニ加へ日辰陰陽ヲ視ン

みたいにギナタな読み下しをしている人がいるみたいだけど、六壬について何もわかっちゃないと思うね。