四課の不備

視日辰陰陽以立四課

安倍晴明著の『占事略决』では六壬天地盤の作成と四課の作成を以下のように簡潔に解説している。

常以月将加占時、視日辰陰陽以立四課*1

「常以月将加占時(常ニ月将ヲ以テ占時ニ加エル)」が六壬天地盤の作成方法で、月将(サン・サイン)を平均太陽時でしめされるハウスにおいてホールサイン・システムでハウス分割を行うことが述べられている。「視日辰陰陽以立四課(日辰ノ陰陽ヲ視テ以テ四課ヲ立ツ)」が、六壬天地盤と日干支から四課を作成する方法になっている。『日辰』は日干支を意味していて、『日』が日干であり『辰』が日支を指している。日干支それぞれの陽神と陰神を出すと、それが四課になると述べている。

陽神だが日の陽神というのは、日干を寄宮させた十二支を天地盤の地盤で探して、そこの天盤十二神を出すことで陽神となる。なので辰の陽神は地盤日支の天盤十二神ということになる。陰神は陽神を地盤に降ろした時、その天盤十二神が陰神となる。

例えば、本日29日は丁未の日で、今の時刻が20:27(JST)なので戌刻、今のサン・サインが金牛宮ということから月将は酉(従魁)となる。天地盤はこうだ。

 辰
巳 
 巳
午 
 午
未 
 未
申 
 卯
辰 
   申
酉 
 寅
卯 
 酉
戌 
 丑
寅 
 子
丑 
 亥
子 
 戌
亥 

日干丁は未に寄宮するので四課はこうなる。

辰陰神 辰陽神 日陰神 日陽神




四課 三課 二課 一課

本日丁未日は日干寄宮と日支が同じになる八専日*2なので、一課と三課、二課と四課が同じになっている。四課なので4つあるべき所がダブりのせいで2つしかない。これを不備という。この不備のパターンは他に一課と四課が同じとか、二課と三課が同じといったものがある。





四課 三課 二課 一課

とか、





四課 三課 二課 一課

といった感じだ。色々考え方があると思うけれども、陽神と陰神のダブりのときはやはり陰神が退場するべきだろう。六壬の四課は日のグループの一課二課と辰のグループの三課四課に分けられる。陽の日は日のグループが陽、辰のグループが陰となり、陰日は逆になる。不備によって二課とか四課が欠けると陰陽のバランスが崩れてしまう。

例えば例にあげた癸巳日の場合、陰日なので三課四課が陽、一課二課が陰となる。一課と四課がダブって四課が欠けると陽が1個で陰が2個となる。甲戌日の場合は陽日なので一課二課が陽、三課四課が陰となる。二課と三課がダブって二課が欠けると癸巳日と同じく陽が1個で陰が2個となる。こういう四課で色恋を占うと男が1人に女が2人*3という三角関係を考慮することになる。なのでこういった構成の四課には『無婬』とか『撫淫』といった名前が付いている。

これが八専日の場合だと陽神と陽神、陰神と陰神がそれぞれダブっているので不備にも関わらず欠けることができない。こういう場合、色恋沙汰では相互不倫を疑うことになる。

余談だけど、私が五衝日とよんでいる日干寄宮と日支が冲となる5日では、返吟課の場合に一課と四課、二課と三課が共にダブる現象が発生する。この場合、陰神が両方とも欠けてしまうので不倫の象では無くなってしまう。こんな感じの四課だ。





四課 三課 二課 一課

*1:句読点は筆者が付加した。

*2:六壬の八専日。六壬の八専日は5日しかないので占事略决では『五重日』とよんでいる。

*3:攻め受け、タチネコでも問題ないです。