天社神道禁止令

本当は高橋圭也さんとかが発信している情報を追跡してもらうのが善いとは思うけど、チャネルは多い方が善いだろう。

明治三年閏十月十七日に発布された太政官布告七百四十五号は、天社神道禁止令とよばれている。内容は以下の通り、

従来天社神道ト唱ヘ、土御門家免許ヲ受候者共、両刀ヲ帯シ絵符ヲ建、宿駅通行候由、甚以無謂事ニ付、自今右等之所業被差止候間厳重可申逹、尚今後門人免許一切被禁候旨、今般土御門和丸ヘ御沙汰相成候條、府藩県ニ於テモ此旨相心得、管内取締可致事。

句読点は筆者が付加した。大意としては、こんな感じ。

以前から天社神道を唱へて、土御門家からの免許を受けた者共が、両刀を帯びて絵符を建てて、宿駅を通行していたが、これらに根拠は皆無なので今からは右等之所業を差し止めることを厳重に申し伝える。また今後は免許の発行は一切禁止するということを土御門和丸へ通知を行った。府藩県でも是を心得て管内の取締をするように。

江戸の頃に安倍晴明の子孫である土御門家は、伝承してきた陰陽師が持つ技術等を天社神道として再編していた。陰陽師は天社神道の門人となることで免許を土御門家から得ることができた。この権利は幕府から得たもので独占的なものであった。つまり土御門家は陰陽師を公的に認証する機関となっていた。

土御門家による陰陽師の免許発行が禁止されたため、この後は公的に陰陽師の認証を行う機関が存在しなくなった。結果として公的に認められた陰陽師は、この天社神道禁止令が発布された後は存在できなくなった。現在、陰陽師と称する人達は、全て自称ということになる。

なお土御門和丸というのは天社神道禁止令が発布された当時の土御門家当主であった土御門晴栄(つちみかど−はれなが)の幼名で、土御門晴栄がまだ12か13歳であったためにこうよばれた。