簠簋内伝


風水と家相の歴史

以前、はてな日記で『風水と家相の歴史』を紹介したけれども、そのとき陰陽師の使う相地の術のテキストとして『簠簋内伝』が挙げられていたのでアレっと思ったことがある。『簠簋内伝』は晴明に仮託されたテキストで偽書の類であって大した価値は無いと思っていたからだ。しかし『風水と家相の歴史』にしめされた図等をみると、そんなに変なものではなかった。『簠簋内伝』はWikipediaによると、正式名称を「三国相伝陰陽輨轄簠簋内伝金烏玉兎集(さんごくそうでん おんようかんかつ ほきないでん きんうぎょくとしゅう)」といい、「金烏玉兎集」とよばれることもある*1

気になったので高橋圭也さんに、「ひょっとして簠簋内伝って重要なテキストなんですか?」と聞いてみたことがある。高橋さんは非常に重要だと教えてくれた。最近twitterで同様の事を高橋圭也さんが呟いているのを見つけた。どうやら総花的に色々なものが挙げてあるが、その中に使えるものがいくつもあるということのようだ。そこで高橋圭也さんに『簠簋内伝』のスジの良いテキストを紹介して下さいと御願いしたところ、『神道大系論説編16陰陽道*2』を紹介してもらったので、国会図書館に『簠簋内伝』の項をコピーに行った。まだ読み進めているところではあるけど、色々なことが書かれていて興味深い。

なお個人的に興味深かったのは、陰陽道において牛頭天王が重要な神であることがしめされていることだった。実は修験者だった祖父が御祀りしていた社は、石鎚三十六王子の牛頭天王を祭神としている。それと『神道大系論説編16陰陽道』には占事略決翻刻も収録されていたのだけれど、以前、はてな日記で触れた『稽』字の問題について新しいことがわかった。神道体系では『稽』字を『稽』の異体字翻刻している。『稽』の意符は『旨』であるが、神道体系で採用されていた書体では意符を[上/日]としており、宮内庁書陵部本や京都府立総合資料館蔵の若杉家本とのつながりを窺わせるものとなっている。

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2月5日追記

なんか高橋圭也さんが上記関するこんなツィートしてた。

*1:Wikipedia-ほき内伝より

*2:神道体系はその名に恥じず、神道に関連した資料の集大成である。松下幸之助がずいぶんと援助したらしく幸之助は編纂会の会長を務めている。参照→Wikipedia - 神道大系