参宿が姿を変えるかも

昨年6月にオリオン座のベテルギウスが急速に質量を失っているという報告が出た。例えば、ナショナルジオグラフィック式日本語サイトの以下の記事。

ベテルギウス赤色巨星として知られていて、星の寿命からみて超新星爆発の兆候ではないかという見解はかなり有力なものらしい。ベテルギウス超新星爆発を起こせば昼間でも観測できる程の輝きになると見積もられている。未来の天文学の教科書ではパルサーかブラックホールの例としてあげられて、『XXXX年までここにはベテルギウスとよばれる赤色巨星が存在した』と注釈が付くようになるのかもしれない。

オリオン座はサソリ座と同時に昇ってくることは決してなく、神話的にはオリオンは自分を刺して殺したサソリを恐れていると説明されている。オリオン座は中国二十八宿の中の参宿に該当する。なので参宿とサソリ座の心臓付近の星から構成されている心宿とが同じ空に昇ってくることはない。心宿の別名に『商』がある。詩聖杜甫は『贈衛八處士』の枕で参と商が同時に昇ってこない様を使って『人生不相見、動如参與商(人生相見ざることややもすれば参と商の如し)』と詠んで、人との邂逅になぞらえている。『贈衛八處士』は杜甫の詩の中でも好きな詩だ。

人生不相見 動如参与商 今夕復何夕 共此灯燭光 少壮能幾時 鬢髪各已蒼
訪旧半為鬼 驚呼熱中腸 焉知二十載 重上君子堂 昔別君未婚 男女忽成行
怡然敬父執 問我来何方 問答未及已 駆児羅酒漿 夜雨剪春韭 新炊間黄粱
主称会面難 一挙累十觴 十觴亦不酔 感子故意長 明日隔山岳 世事両茫茫

すごくいいかげんに現代語訳してみると、

人間て会わないときは、ほんと参と商みたいなもんで、全然会わないよね。
今日の夜はどういうことか久しぶりに同じ明りを共にしている。
思い返すと若い時って短くて、今じゃ白髪が一杯。
旧友について話すともう半分は鬼籍に入ってて、エッと思わず声が出て腹が熱くなる。
もう20年になるか、前に君の家に御邪魔したのは。
その時はまだ結婚してなかったのに、今じゃ列ができる程の子沢山。
父親の旧友ってだけで気をつかってくれる。どちらからいらしたのですかと聞いて座を取り持ったり、話の途中でも酒や肴をすすめてくれる。夜、雨だというのに香りがきつくない春のニラを取ってくれて、それを使ったコウリャン入りの御粥が出た。みんな良い子じゃないか。
衛八さんは良く会えたものだといい、御互い、いきなり10杯もあけていた。
10杯呑んでも酔わないのは、衛八さんの長年の友情に感じ入ったからだよね。
私は明日は山の向こうに旅立つ。これから世の中どうなるんだろうね。

こんな感じかな。