8月14日に月が金星を隠す蝕が発生した。かってこの金星蝕が重要な局面で発生したことがあったのは、『指神子の占例』や『そうか悪左府か』のエントリで触れてきた。もっとも金星蝕を占った、指しの御子−安倍泰親が六壬の課式を立てたとしたらどうなったについては、いま一歩詰めきることができなかった。
ところが先日、小坂先生の論文*1を読んでいたら、陰陽道において1日は寅刻に始まって丑刻で終わるとの記述があった。するとこれまで推測してきたように寅刻に占ったものであるなら、翌27日壬申日の占いになる。貴人法として略决の貴人法を採用するなら、以下のような課式と天地盤になるだろう。
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遙尅課で凶である。末伝が発用を制してはいるけれども空亡して力がない。また干上神は座空、支上神は空亡、四課は当然座空と空亡の目立つ課式となっている。干上神を治天の君とすれば脱気で大凶、干上神の天将は天后、また干上神は脱気なので子孫を指している。この辺りから泰親は、
天子惡、母主惡、立太子皇子歟、
と読みとったのかもしれない。