「調和の幻想」ってのは語感的には大仰な訳だと感じるけど、どうも占術にもハーモニーの原理が働いているらしい。中国の音階は12の音から構成されていて、どれも十二支と対応している。例えば、会の関係にある子と辰だが、 音に対応させると子−黄鐘(レ)と辰−姑洗(ファ#・ソ♭)となって和音の関係になる*1。
多分、会の関係は正三角形を構成する綺麗な関係と思われているだろうけど、実際には和音の関係が先にあって、図形にすると正三角形になるという順番だったのではないだろうか。直接に音を連想させる納音というものもあって、音楽と占術の結びつきは過去の一時期は非常に強固だったのではないかと考えている。
西洋音楽の音階は7つの音から構成されているが、これは太陽、月、水星、金星、火星、木星、土星の七惑星に対応しているはずだ。ただこれも後世になって七惑星に集約されただけで、古くは12の音だった可能性は高いだろう。何故なら西洋占星術のトラインの関係は和音との結びつきを想像させるからだ。
古典占星術ではアスペクトはサインの縛りがあって、コンジャンクション、オポジション、トライン、スクエア、セキスタイルしかないが、トラインとセキスタイルが吉の関係とされているのは、この関係が和音を構成するからだろう。
ケプラーは耳の分解能の低い私と違って、音楽にも堪能だったようで天球の音楽という、天体の調和を表す曲の作曲までした人だ。しかし占星術で飯を食っていて音楽にも詳しかったケプラーが、サインの縛りを外した拡張されたアスペクトを使っていたというのは一つの謎ではないだろうか。
*1:ガクテン−もっと音階による。