奇門遁甲は古来戦場で使われてきたもので、戦場では攻撃の日時を選べない状況が多々発生する。「軍師・参謀」にも、呉子にある占わなくても戦ってよい情況が引かれている。出陣によい日時がなく、それでも出陣しないといけない場合には、呪術が使用されていた。
そういった呪術の中に「玉女反閉局法」がある。この術の式次第には、6という数字に基づいて決められたものが繰り返し使われている。6歩歩きなさいとか、6本の鞭を持ちなさい、12回歯をガチガチと噛みなさい、とかである。で、6という数字と「玉女反閉局法」という名前を見たとき、カンの良い人なら、安倍晴明が行った「反閇」を連想したことと思う。
「閉」も「閇」も門に閂をかけて、閂が外れないように錠を付けた文字なのは同じである。「反閇」も「玉女反閉局法」と同じく、凶方位への出発において凶を取り去ることを目的*1にしている。
2001年10月6日発行のダ・ヴィンチ No.90に、小坂眞二先生*2による「陰陽師が反閇をつとめるとはどういうことか」という記事があり、反閇についての詳細な調査の一端が披露されている。
記事によれば、「玉女反閉局法」と「反閇」はかなり異なっているが、「反閇」において最初に玉女に目的を申し述べる、とか、最後に6歩歩いて振り返らず出発する、といった「玉女反閉局法」を連想させる部分もあり、興味深いものとなっている。