式盤とは

六壬式盤の使い方

式占式盤 - 北斗柄の占いについて思うこと

使い道はさておき(おくな!)、こういうブツって眺めていて飽きない。

2022/04/09 09:30
b.hatena.ne.jp
id:Nean さんから「使い道はさておき」といわれたので、六壬式盤を例に使い方を説明してみる。

占事略决本文は「常以月将加占時」で始まっている。月将はサン・サインのことだ。今は春分を過ぎて穀雨の前なので、太陽は白羊宮に位置している。白羊宮は月将になおすと河魁(戌)だ。今が子刻とすると、子の上に戌を置いて十二支を順に配布すると六壬天地盤が完成する。

今なら筆記のための道具は色々なものが存在するしPCのメモ帳だって使うことができる。ところが安倍晴明が活動していた平安時代やそれ以前となると、紙やその代用物、筆といったものは消耗品の類とはいえ貴重品だった。頭の中に天地盤を構築することや、手のひらを計算器代り使用する掌訣法もあるけれども、もっと簡便に天地盤を作ることができないかということで考案されたのが式盤だ。

最低限の要素+α*1の式盤で、地盤の子刻に天盤の河魁(戌)を合わせた状態になっている。つまり丸い天盤をひょぃひょいと回すと天地盤ができちゃう。これが式盤((ちょく))だ。

この簡便さに古人は感じる所があったらしく、式盤を使った道教式の調伏法が生み出される。これが雷公式だ。こういう呪術的な使い方のために、式盤の材料は非常に限定されて行く。地盤は雷が落ちた棗の木*2とか、天盤は台湾楓にできるコブである楓人とかだ。棗は地のことを知る樹木で、それに雷が落ちることで天地に通じることになるのだろう。また台湾楓だけど、黄帝が蚩尤を捕らえた時、蚩尤を縛ることができたのが唯一台湾楓で作った枷だったという。棗や台湾楓はもともと呪力のある樹木だったわけだ。

もっとも雷撃棗や楓人は材料として上品(じょうぼん)で、欽定の『景佑六壬神定経』には中品や下品の材料が解説されている*3

この式盤を使った調伏法は密教が取り入れて『盤法』となる。密教では本来の作法は無視されて、ただ拝むだけなのだけど。

*1:+αなのは私のコダワリというヤツだ。

*2:雷撃棗とか霹靂棗とかいわれる。

*3:そして、ギリこれなら何とかなるという『次局』の材料もあげてある。