ほんとはブログ書いてる場合じゃないけど

蓍とは

最近、無気力に時間を潰していることが多くて、多方面に不義理をしている。ただ「こればちゃんと書いておけ」と私のゴーストが五月蝿いので、文章を書くリハビリを兼ねてまとめることにした。

易では立筮で筮竹を使用するけれども、筮竹は蓍の耐久性のある代用品として作られたものだ。さて、この『蓍』なんだけど、音読みでは“シ”*1、訓読みでは“メドキ”となっている。日本では『蓍』を『メドハギ』と解しているし、筮竹が作られる以前は実際にメドハギで数取りをやっていたそうだ。
写真は“Wikimedia Commos”から拝借した。

ところが中国では『蓍』をキク科多年草のノコギリ草の一種としている。そして蓍の茎を乾燥させたもの を淘宝網で購入することができる。


例えば淘宝網このページで『中国周公正宗孔子蓍草筹策』として蓍の茎を乾燥させたものを販売している。

(2023-05-02追記 植物なので検疫に引っかかる感じで日本に輸入できないそうだ。)

このページによると蓍の学名は“Achillea alpina(A.sibirica)”で『蓍草』、『鋸歯草』、『蚰蜒草』といった別名があるそうだ。ちゃんとキク科と書いてある。ノコギリ草の一種のヤロウはハーブとして知られており、西洋魔術でも使用されることがあるそうだ。ヤロウはアマゾン等でハーブとして購入することができる。

易のお茶は案外スパイシーな味がする。ヤロウの精油も売っていて私も1つ持っている。根性入れて立筮する時にヤロウの香りを嗅いでから筮を執ることにしている。

淮南子時則訓によると亥月は

是月、命太祝、祷祀神位、占亀策、審卦兆、以察吉凶。

と、亀卜や易*2で占って来年に備えるようだ。そう言えば、阿伎留神社に伝わる『年中十二祭神事絵巻』でも、十一月(亥月)の行事の絵は鹿卜の様子だった。特に炉を切るわけでもなく焚き火の回りに立てた竹竿の先に鹿の肩甲骨が括り付けられていた*3
術友の玄珠さんは、乾燥したヤロウに算木や筮竹を埋めて筮具をリフレッシュさせるそうだ。

*1:立筮の用具である『神蓍』や『円蓍』では音読みを採用している。

*2:策と卦が易のことで、亀と兆が亀卜。

*3:同じく阿伎留神社に伝わる『神伝鹿卜秘事記』では全灼の鹿卜が解説されている。