十二建除
十二建除は中国の戦国時代には成立していた暦注で、日本では十二直や『暦の中段』として知られている。名前の通り、建・除・満・平・定・執・破・危・成・収・開・閉の十二個から構成されている。出し方は月建が切り替わった直後に来る月建と同じ日支の日に建を置いて、後は順に配布して行く。例えば2019年11月は8日の02:24(日本標準時)に立冬の節を迎えて月建が亥となる。11月は10日に亥の日なので、ここに建を置く。次いで、子日は除、丑日は満と順に配布して行く。建は月建の建であり斗建の建に通じている。
十二建除の吉凶象意はともかく中国戦国時代には秦と楚で表記が異なっていたことが、劉楽賢(広瀬馨雄訳)「出土文献から見た楚と秦の選択術の異動と影響−楚系選択術中の「危」字の解釈兼ねて*1」で解説されている。それくらい十二建除は中国大陸で一般的な暦注だったというわけだ。
日本の暦では、十二建除を漢字一文字ではなくて訓読みして大和言葉の動詞で表記することになっているけれども、この訓読みには幾つか異議がある。例えば、建は“たつ”じゃなくて斗建からくる“おざす”ないし“さす”だろう。この辺りは『十二建除』のエントリを参照して欲しい。
さて数日前に、こんなtweetをした。
九星で(年月日時の総称として)時支の冲を『破』とよぶのが十二建徐の『破』に由来するというのを理解している人はどれくらいいるのだろう?
— 北斗柄@生涯六壬者.多分 (@hokutohei) October 30, 2019
誤字があったのは御愛嬌というヤツだ。選択肢が『知っていた』と『今、知った』の二択なのは受けを狙った*2のだけどスベッたようだ。投票総数が6票しかない。しかしながら破が十二建除に由来するというのは私の妄想ではない。月建の冲支には十二建除の破が来る。そして九星・気学の人は月破を“つきのやぶれ”とよぶことがある。なので、(年月日時の総称として)時支の冲を『破』とよぶのが十二建徐の『破』に由来するのはそれなりに根拠のあることなのだ。冲で破壊だから破と漠然と思っていた人は、このエントリを読んだのを機会に、十二建除の破に由来すると憶えておいて損はないと思う。
*1:渡邉義浩編『両漢における易と三礼』所収、汲古書院、二〇〇六年