神代文字

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神代文字入門


ちょっと前に久しぶりに神保町まで行った。その時に書泉グランデで、原田実著の『神代文字入門』を見つけたので購入した。著者の原田さんとはちょっとした知り合いで、神代文字については懐疑的、つまり神代文字が神代に日本で使用されていた文字であることについて、懐疑的な立場であることは承知の上で購入したわけだ。

懐疑的な立場からであっても、神代文字の一覧となっている本書は非常に貴重だと思う。ついでにいうと、練習問題がついているので神代文字が読み書きできるようになるかもしれない。

原田さんは懐疑的ではあるけれども、神代文字について暖かい目でみている。つまり神代文字が後世の偽作であったとしても、そういう文字を必要とした人達について研究することは無意味ではない、そして神代文字とされるものの中に古代の文字が紛れ込んでいる可能性は否定でない、という立場だ。これはまあ竹内健の神代文字への取り組みと似たような立場だ。

しかし竹内健は『琉球古字と十二干の謎』で、阿比留草文字系の神代文字は甲骨文字をレタリングしたものだと突っ走ってしまったのだが、懐疑論者である原田さんは慎重に話を進めている。もっとも、琉球で袋中上人によって採取された文字で十二支とされる十二の文字の最初の3文字が、甲乙丙の甲骨文字に似ているのは間違いない。なので原田さんも神代文字に古代の文字が紛れ込んでいる可能性を否定していない。

ただ阿比留草文字の『サ』が、竹内健によって名付けられた阿伎留文字の『サ』と似ても似つかない書体であることが確認できたのは、私にとって最大の収穫だった。