謹賀新年

神代文字とか

3号で潰れた文字通りのカストリ雑誌だった『迷宮』に竹内健の『琉球古字と十二干の謎』という連載があった。この中で竹内健は「神代文字は中国の甲骨文字や金文をレタリングしたものだ」という主張を展開していた。そしてその明白な例として、琉球神道記に収録された古字の十二支とされる文字の最初の三文字が甲乙丙の甲骨文字であるとしていた。

で、確かめることにした。琉球神道記は国会図書館のデジタルコレクションに入っていた。『琉球神道記』の51コマに件の神代文字というか琉球古字があった。“ウシ”のルビのある『刀』みたいな字は乙の甲骨文とは似ているとは言い難いのであげてないけれども、“ネ”、“トラ”、“ウ”のルビのある文字は、甲骨文や金文の甲、丙、丁に似ていると言えるだろう。甲、丙、丁の書体はそれぞれウィクショナリーから拝借した。

原田実著の『神代文字入門では、こういったことを踏まえてだろう、神代文字に古代の文字が紛れ込んでいる可能性は捨てきれないとしている。

もし、この琉球古字に甲骨文字をレタリングしたものが混入しているとしたら『琉球神道記』の刊行は慶安元年(1648年)なので、清の王懿栄による光緒24年(1899年)の甲骨文字の文字の発見よりも200年以上早いことになるのは竹内健が言う通りだ。

神代文字が神代に使われていたということは、まず無いだろうけれども、どういった人達が神代文字を必要として何をオリジンとして神代文字を作りあげたのかは今後研究されるべき問題だと思う。