これを六壬と言われるとな

月刊誌のan・anで占いの特集をやっているのだが、六壬神課が取り上げられているということで購入して読んでみた。読んでみての感想は、「ライターさんの苦労はしのばれるけど、これを六壬と言われると困るな。」だった。

20131230233751
an・an 2014年 1/8号

ライターさんの苦労がしのばれると言ったのは、六壬の記事を書いたライターさんが、それなりに六壬陰陽道、そして安倍晴明が残した『占事略决』について勉強していることが文章の端々から判るからだ。例えば冒頭の段落の、

日本でも平安時代の頃には陰陽道という国の占いを担当する部署(機関)で用いられていたことがわかっています。

と、『陰陽道』について割と正しい知識*1を披露しているし、『占事略决』を『六壬神課の覚え書き』としているのも評価が高い。そして『六壬神課』が、

質問者が尋ねた時の時間を使って占断

するものだということもちゃんと理解している。それだけに編集部から「六壬神課で2014年前半の恋愛運で1本と言われた時に頭を抱えただろうというのも、容易に推測できたりする。で、結局のところライターさんがどうやってこの難題をやっつけたかというと、推測できる範囲では、年干を使って十二支に天将をふって、生日十二支についた天将の象を解説するという手法でしのいでいる。天将配布の順逆は貴人が乗じた十二支をそのまま使って順逆を出したようだ。

貴人の夜昼は、おそらくだが2014年の前半を昼、後半を夜としているのだろう。an・anでは年の後半にも占いの特集があるようだが、その時にも六壬が出るのなら貴人は未に乗じているはずだ。使われている貴人法は最も古形で略决の本文に出ている方法を採用しているのだろう。

ただ四課三伝がない六壬六壬と言われても困るし、天盤地盤の無い盤を六壬の盤と言われても困るよね、というのが私の偽らざる感想だ。せめて天盤地盤のある盤を作成して欲しいところだが、私だったらどうしのぐか考えてみた*2

通常、六壬で作盤に必要になるのは、日干支、時支、月将支であるわけだが、日干支の替わりとして年干支を使うのは割と自然だろう。時支の替わりには、ちょっと苦しいが年支を使うとして、月将支の替わりに年将支を使うというのはどうだろう。年支午で年将は未ということになる。前半で昼貴人として、古形の貴人法を使うと以下のような感じになるだろう。































































































 




































所詮はネタでしかないので課式の解説とかはしない。本命である地盤の生年支の天将を見ることにすれば、ちょっとは六壬ぽくなったと想う。雑誌の記事なので1年単位ではというなら生日支を本命にするのも可かな。

*1:部署としての名称なら『陰陽寮』が正しいだろう。だが『陰陽道』について陰陽五行説云々していないだけでも評価できる。

*2:ただし表芸の六壬の術を曲げたいとは想わないので、もしもライターさんから相談されたらという仮定の基での話であることは強調しておきたい。