西洋魔術

魔術との付き合い方

ヘイズ中村の『古典西洋占星術 魔術編』が出版されたのが昨年の12月下旬だから、出版されてからそれなりに時間が経っている。

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古典西洋占星術
魔術編

購入して最初の方をパラパラめくってみた感じでは、ヘイズ中村にしてはおざなりな占星術本だなという印象であったのだけれども、魔法使い、魔女の両世界でイニシエーションを受けたヘイズ中村の本であるのだから、西洋魔術の本だったわけだ。

確かに西洋占星術を使った西洋魔術の実践ガイドという観点から本書をみれば、西洋占星術の部分も必要な情報が過不足なくまとめられていると思う。自宅等に清浄な魔術用の空間を確保できる人なら、本書のガイドに従って必要な魔術をやってみるのは、そんなに難しい話ではないだろう。

ただ本書で最も重要な部分は243頁以降の、

  • 魔術で願望を達成するためのルール
  • 効果がある魔術・行ってもよい魔術
  • 行ってはいけない魔術・行っても効果がない魔術

の項目だろう。繰り返し、魔術が直接作用するのは自分自身でしかなく、魔術以外の方法で出来ることに魔術を使うなということが説かれている。

私見だけれども魔術を行うというのは、かなりの量の運を消費する作業なのだろう。伝説によればアレイスター・クロウリーは道路の反対側を歩く人間を魔術でひっくり転げさせたそうだけれども、この作業でクロウリーは多量に運を使ってしまったんじゃないだろうか。

魔術を使う時には運の使用量を最小限にするように、自分自身、それも心に作用するような作業だけに留めておくのが無難なのだろう。運が尽きれば、文字通り「運の尽き」だ。平穏な日常を過ごすだけで運を消費しているのに、魔術なんかで運を無駄使いするのはあまりにもったいない。

ただヘイズ中村の名前で本書を購入する・した人にとっては、上記の様な事柄は「釈迦に説法」なのだろうとも思う。