ヨハネス・ケプラー

多分勘違いだと思う

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わっとさん(id:watto)の西洋占星術体験談のエントリだけど、ちょっと気になる記述があった。

ニュートンは、本業が占星術師で、物理学(当時の言葉で自然哲学)は余技だったという説もあるそうだ。

ニュートンがやっていたのは錬金術占星術はやってなかったはずだ。当時の錬金術は水銀の蒸溜を繰り返すので、ニュートンも大量に水銀を摂取してしまい、遺髪から水銀が検出されるらしい。参考↓


ニュートンと魔術 奥義書 水晶球 居皆亭(いるみなてい)Vol.26 ヘイズ中村 4/6

多分だけど、わっとさんはニュートンケプラーを混同してしまったのではないだろうか。ケプラーニュートン万有引力によって太陽系の各惑星の軌道を説明するのにベースとした『ケプラーの法則』を見いだした人で、一般の評価は天文学者ではあるけど、収入は占星術で得ていたそうだ。

このおろかな娘、占星術は、一般からは評判のよくない職業に従事して、その利益によって賢いが貧しい母、天文学を養っている

この訳文はバリエーションが豊富なのだが、天文学という賢い母を愚かな娘である占星術が養っていたとケプラーが考えていたのは間違いない。ただケプラーが収入を得るためと割り切って占星術に従事していたかというとそうでもなかったのではないだろうか。

現代占星術では、星のアスペクトというのは星と星の角度としてとらえられているけれども、古典占星術では、そもそもは黄道十二宮の宮(sign)同士の角度であり特定の角度を持つ宮の中にいる惑星同士の関係だった。この宮の縛りからアスペクトを解き放って、星と星の間の特定の角度と再定義したのがケプラーだった。現代のマイナーアスペクトケプラーの貢献無しには無かっただろう*1

占星術を『愚かな娘』とよびつつ、ケプラー占星術をそれなりに愛していたと思う。

*1:まあケプラーでなくとも別の人が、アスペクトの再定義をした可能性は高いだろうけど。