建す

日本語が母語でない人にとっては漢字の音訓の使い分けは難しいものらしい。対応作としては、松永英明さんがブコメで言ってたように、

「音読み-音読み」か「訓読み-訓読み」が原則なので言葉ごとにどっちなのかを覚え、あとは例外(湯桶読み重箱読み)だけ注意すれば覚えやすい。送り仮名あれば大半は訓読み、とか。

が、一番妥当な基本戦略だと思う。ただ訓読みはかなりやっかいな代物で、日本語が母語でも知らないような訓読みはいくらでもある。例えば、これ。

『建す』

kotobankによれば、これは『おざす』と読む。北斗七星の柄の三星が指す方角を言うときの読みだ。つまり斗建や月建の『建』のことであり、暦の中段の十二直の『建』のことでもある。十二直の『建』には『たつ』の訓が与えられているけれども本来は正しくなく、『おざす』と訓じるべきだろう。3文字で他と釣り合いがとれないというなら『さす』で良いのじゃないだろうか。

北斗七星の柄の指す方角は恒星時そのものと対応しているので、月建というのは特定の太陽時*1に恒星時がある範囲に収まっている期間に対応していることとして再定義が可能だろう。恒星時24時間を12分割すれば2時間ということになる。恒星時は太陽時に対して1太陽日あたり平均で4分程進むので恒星時で2時間進むためには、およそ30太陽日=1月くらい経過するということになる。ということで特定時刻の恒星時=特定時刻の斗建=月建は月の指標の一つと成り得る。

*1:平均太陽時。