破軍星の使い方

ちょっと前に私のTLに以下のtweetが流れてきた。

それに対して、以下のようなプックマーク・コメントを付けた。

残念、この北斗七星では、破軍星が持ち手を打つよ。

七星剣とよばれる剣がある。基本的には刀ではなく剣で、刀身に北斗七星が刻まれている。もっとも現代では、北斗七星はずいぶん図案化されていて、七つの星をジグザグに配置してそれを線でつないだ形で刻まれることが多い。また道教儀礼で使用される場合には、剣が木製の場合もあるようだ。

しかし基本的には切っ先側に柄の三星を配置して、柄の先端である破軍星の威力を切っ先側に込めることになっている。これは旗指物の場合も同様で、破軍星を使って敵を威圧するために柄の三星を上に描く。

七星剣とはこのようなものなので、七星剣として伝わっている四天王寺所蔵の七星剣は、単に北斗七星が象嵌されている直刀であって、七星剣として正しいとは言い難い。

このように意匠として北斗七星を使用する場合には、自分ではなく相手側に破軍星が向くようにするのだが、これが『破軍星の繰り方』になると、使用方法が全く逆になる。確かに破軍星を背にしろということになっているけれども、大雑書には『破軍星を背にするということは、破軍星に向かうということだ。』という追記がある。

実は『破軍星の繰り方』は、奇門遁甲の『天馬太冲』と同じものだ。『破軍星の繰り方』には「四つ時去りて、月の数」という口訣が伝わっている。つまり、時刻の十二支から4つ進んで、更に正月なら月の数は1なのでそのまま、二月なら2なので1進むわけだ。これは六壬天地盤を作って天盤卯の下の十二支を探すのと同じことになる。

ついでにいうと、夢渓筆談において沈括が「月建の切り替わりは正節から、月将の切り替わりは中気から」とするまでは、月建月将共に正節で切り替わっていたので、『破軍星の繰り方』の口訣は、唐の時代かそれ以前に輸入されたものがそのまま伝わっているわけだ。