日月建

安宅の呪符

遠野市立博物館の長谷川副主幹兼学芸員から頂いたメールによると件の呪符は、

資料名 安宅(あんたく)
受入年月日 昭和55年4月18日
資料所在地 岩手県遠野市青笹町 個人所蔵
内容 
山伏関係資料
地鎮祭や新築の際の家屋安全のまじないに使用したもの

ということで、宅地や家屋の修祓のためのものだったようだ。ところで現物にあたってみるとtweetの写真よりも符の枚数が多く9枚ある。
そしてその中の2枚が「日月建」で始まっている。『建』は十二建除*1の建だろう。

北斗七星の柄を構成する廉貞、武曲、破軍が指す方角を斗建*2といい十二支で表記する。ある時刻の斗建が1つの十二支の中にある時その十二支を月建とよび、その期間が『節月』となる。月建が切り替わる日時が節入りだ。十二建除は節入りを過ぎて最初にくる日支が月建と同じ日を『建』として、以下、除、満、平、定、執、破、危、成、収、開、閉と十二支の順に割り付けて行く。日本では訓読みが普通になっているのもあって『危』の日は凶とされているけれども、本来は除、定、危、開を吉日とする。これが奇門遁甲での元々の四地戸法だ。董公択日では四地戸の吉日の他に月建毎に吉となる日が付け加わる。

おそらくは安宅の呪符は建に建築の意味を持たせて、宅地や新宅の修祓に用いたのだろう。

*1:日本では十二直とか中段とよばれている。

*2:それで『建』には“おざ-す”の訓がある。