禄存の謎

禄神

中国占術では禄となる十二支を重要な神殺の一つとすることが多い。六壬でも日干から禄となる十二支を『日禄』と呼んで吉神の中で最も吉としている。また禄を出すときは陽生陰死の十二運が伝統的に採用されている。紫微斗数でも年干から禄となる十二支を『禄存』とか『天存』と呼んで甲級補星の吉星としてあつかっている。

ただ以前から納得の行かない占例が一つあって、禄存てそんなに吉なのか疑問に感じることがあった。その占例の命盤では命宮に破軍と禄存が入っていて、確か破軍は廟旺していた。命宮単独では悪くないと見て良いはずなのだけど、その命盤の持ち主は自分の利益を思想・信条といったものよりも優先し、客の前で自分の評価を落とさないためなら平気で嘘をつくような人物だった。そのため自分の評価を高めてくれそうということで持ち上げていた人物でも、一端自分の意に沿わないとなったら手のひらを返すようにコキ下ろすといったこともあったりする。その様がいかにもケチ臭く感じられたので、禄存にはケチ臭いという象意でもあるのかと考えたこともあった。

もっともこの禄存の解釈について最近少し理解できるようになった気がする。ヒントになったのは東海林先生の、

禄存は必ず陀羅、擎羊を両側に連れてくる。

という一言だった。確かに、陀羅、禄存、擎羊の3星は必ずこの順番で並んでいる。従って命宮に禄存があるということは、兄弟宮に陀羅、父母宮に擎羊が入っているということでもある。兄弟宮の陀羅は人付き合いについての困難を意味していると考えることができるし、父母宮の象意を対応する西洋占星術の12室の象意からとるなら、見えないところで敵を作り易いということでもあるのだろう。