4室問題

なんか本多先生が、私の4室関連のエントリのちょっと後に「4ハウスは母親か父親か」というエントリを立てられているわけだが、ちょっと気になったので記憶を頼りに國分秀星さん*1のサイトである“The Warrior of Astrology”を探ってみた。ここには古い時代の各ハウスの意味を載せた図があったと記憶していたからだ。見つけたのが伝統的占星術の必要性というアーティクルで、これは故オリビアバークレイが1996年9月に開かれたカーター・メモリアル・レクチャーで行った講演の日本語訳だ。内容はオリビアバークレイが伝統的な占星術への回帰を宣言したものだ。占星術の歴史的にみても重要なものなので、これが日本語で読めるというのはありがたい。

このアーティクルには確かに様々な時代のハウスの意味を解説した図があった。これによると図の中で4室から家族の意味を導出しているのが、Julius Firmicus MaternusとWilliam Lillyの2人で、Firmicusは『両親』をLillyは『父親』としている。Julius Firmicus Maternusは4世紀くらいの人なのでWilliam Lillyよりも遥かに古い。なので4室から導き出される家族は本来は両親であって、どちらか片親ではなかったと推測できる。ということで、前回書いた、

中国占術において4室に相当するのが田宅宮*1であることを考えると、4室の原義は「家庭」であり、家庭を特徴付ける家長としての父親が導出され、リリーの時代のホラリーでは父親の方をよく使ったということなのだろう。

は、そんなに外れた推測ではなかったようだ。なので國分さんが「4室は父親であって母親とするのは正しくない」とまで主張されるのはちょっと勇み足だと思う。ちょっと興味深いのが、Lillyが英国の家族制度の中で両親から父親を選んだのは理解できるとしても、ヒンドゥー教での家族制度では父親が家長であったと記憶しているので、どういう過程を経てインド占星術で母親を選ぶことになったのだろうか?ということだ。しかしまあ、本多先生も4室の象意についての同じエントリの中で、

だから西洋占星術家の本を読んでいると、これはインド占星術の技法を表面的にだけ真似したパクリじゃないのかなと思うような記述によく出くわす。

と書きながら、あとの方では、

実際にいわゆる「かかあ天下」の家庭のホロスコープを見ると、父親母親の象意がしばしばひっくり返っていることを確認している。これも納得のいく説である。

と書かれるのは、なんか自己矛盾してませんかね。参考↓

http://s01.megalodon.jp/2009-0317-1750-28/chardash21.astro459.com/?eid=1186288

*1:本多先生は相変わらず他人の名前に無頓着ですね。