夏蜜柑を磨いてみる

実家の庭*1には野良生えの夏蜜柑の木がある。私が大学進学で大阪に行く頃は1mにも満たないヒョロヒョロとした木だったが、知らない間に成長してたわわに実を付けるようになった。

手入れは時々肥料をやるくらいらしいので、たわわに生った実はどれもこれも不揃いときている。一つとして同じものはない。大きさは当然まちまち、疵物も多いし均等に日が当たらない環境なので不均等に色付いていたりする。夏蜜柑の実は乾いた布でこすってやると綺麗なツヤが出る。そこでもらった実を磨いてならべると、なんと不揃いであることが実一つ一つの個性として輝いてくる。実に味わい深い。疵さえ個性に見えてくる。

占いも人間が人間を相手にしているのだから、どれもこの夏蜜柑のようにバラバラなものにしかなりようがないと思う。しかし磨くことさえ忘れなければ不出来な占いでもそれなりの個性が出てくるのだろう。そういう占いを目指して術を磨きたいものだ。

ちなみに実家の夏蜜柑は酸味が適度なので、そのまま喰ってうまい。あ、喰ってうまい術じゃないと磨いてもしょうがなかったか。

*1:猫の額って形容がふさわしい狭い庭だ。