風水について読むべき2冊の本

風水探源−中国風水の歴史と実際(ISBN:4409410601 購入
何暁〓(著)、宮崎順子
人文書院
風水−欲望のランドスケープISBN:4791757092 購入
エルネスト・アイテル(著)、中野美代子中島健
青土社
どちらも、風水の専門家によって書かれた本ではないが、それ故に風水の本質的な部分をとらえることに成功している。「風水探源」の著者は名前に使用されている文字が日本語の場合、JIS、Shift_JISEUC-JPのどれにもコードポイントがないのでゲタマークになっているが「日斤」な文字*1。「探源」は建築家からみた風水の解説である。

「風水−欲望のランドスケープ」は、香港に派遣されたキリスト教の伝道師によって書かれたものだが、1873年に西洋人*2によって書かれたということが驚きの内容である。羅盤の各層についてかなり詳細な解説がある。著者のアイテルは、中国の思想に尊敬の念を持って接しているが、その儲け主義に対してはかなり辛辣な物言いをしている。「風水とは、賢い母の愚かな娘である*3」がアイテルの出した結論だが、これはアイテルにとって風水が科学となり得るかといった問題提起に対しての答である。つまり風水は科学足りえないがアイテルの得た結論だった。

しかし「学」足りえない「術」が、「術」であるが故に豊かな世界を持ち得るということも近年はっきりしてきたことである。誰に対しても再現性を持ち得るという保証はどこにもないが、そうであってもトレーニングのシステムは存在し、それに従って訓練を積む事で得られるものがある。それは「学」の分析を越えており、「学」で全てを理解することは不可能に近い。もっとも「学」が進歩することで「術」を分析できる領域も拡大して行くであろうが。

術者は常に学者の分析に追いつかれない領域を持っているようにするべきだろう。*4

*1:Windows拡張文字とかにはある。

*2:あまり好きな言い方ではないのだが

*3:これは多分ケプラーの次の言葉を踏まえているだろう。「天文学は賢い母、占星術は愚かな娘。しかし愚かな娘がいなければ、母は飢えてしまっただろう。」

*4:そして術の実効性を明らかにし続ける必要もあるだろう。