誤占の弁

2択の射覆を外した

twitter でフォローしているカナサキ先生が定期的に射覆の問題を出してくれているのでチャレンジしている。
今回は2択で薬の形状は錠剤か粉末かというものだった。

それに対して出した課式がこれだ。
六壬の射覆では物の形状について、旺相していれば確固たる形を持ち、休囚死では形を持たないとしている。

今は卯月で季節は春であり、司令は木行だ。今回の課式だと、

  • 陰日の占なので支上神(三課)を見ると河魁で戌土。
    司令木行から尅されているので、季節には死。
  • 三伝は北方の方合で水行になる。
    司令木行を洩らしているので、季節に休。

ということで、支上神・三伝とも季節から見て確実に弱い。そこで自信を持って「薬の形状は粉末」と回答した。

ところが正解は錠剤だった。

問題なのが、自分がどう読み違えたのかまるで分からないことだった。

日干癸から見て三伝の水行は旺ではあるけれども、支上神は日干を尅しているので囚となる。日干五行からみての旺相休囚死は採用し難いと思う。

ここで気が付いたのが、支上神が干上神の陰神である二課と支合していることだった。卯-戌の支合の変化五行は火行になる。これは季節の司令木行から生じられているので相となり強い。射覆では支合の変化五行も見る必要があるのかもしれない。

科学と術数

“Science”と“Arts”

以前、『ラーメンハゲ芹沢の公理』から、

科学とはデータから世界の仕組みに至ろうとする情熱そのものです。

と科学(science)に定義を与えたけれども、この『データ』は科学のためのもので、

実験環境によってコントロールされた特異性のないもの

という限定がある。この「特異性のないもの」は「目立たない」と言い換えても良いだろう。
この目立たないデータから世界の仕組みに到ろうとする発想は非常に近代的で、西洋でもちゃんと確認できるのはガリレオの実験以降だろう。ガリレオは玉を傾斜のある溝に転がすことで、玉が転がし始めた高さまで登ってくることを実験的に確認した*1

一方、科学以前の術数の世界は扱うデータが科学とは逆に、特異性のある目立つデータを集積することで世界の仕組みに到ろうとした。ま、人間よほど酔狂でなければ目立つものに目が行くのが自然だろう。自然を理解するには、人間にとって不自然なことをしないといけないというのは皮肉といえば皮肉だ。

ということで、術数の世界に生きていた『陰陽師』が科学者であったという主張は断固として否定する。例えば、

とか、

とか、だ。

しかしながら、術数の世界でも目立たないデータの集積に意義を見出していた分野があるにはある。それが天文の分野だ。天文においては天上世界の不変性の確認と造暦のために目立たないデータの集積が進められていた。そこから生まれたケプラーの3法則が万有引力で束縛された太陽系の構造解明につながり、そこから更に土星の摂動の観測へと進み、その摂動から土星に影響を与える未発見の惑星の存在の推定と、推定に基づく観測から天王星の発見へとつながる。

術数から最初に分離した科学の分野が天文学であったことには、それなりの理由があったわけだ。

*1:力学的エネルギーの保存

指斗法

天文易学六壬神課実践實践鑑定法

阿部泰山全集11巻の『天文易学六壬神課実践實践鑑定法』は六壬であまり知られてない秘伝が沢山のせられている。このことからも泰山の六壬が師伝であったことが推測できる。その中でも重要なのが『指斗法』だ。指斗法と同じものが『太白陰経』の玄女式にも出てくる。指斗法では天罡(辰)を使う。天罡は破軍星の別名であり、北斗が指すものを使うということで『指斗法』の名がある。

例えば敵との会合の時期を指斗法で占う場合は、その時の月将を時刻に置いて六壬天地盤を作成する。そして天盤の天罡辰の下の地盤十二支を見る。

  • 丑辰未戌ならもうじき会敵
  • 子卯午酉なら敵は陣から出た所
  • 寅巳申亥なら敵はまだ陣中

といった判断をする。指斗法では、

地盤支速度大小高低左右
丑辰未戌
子卯午酉
寅巳申亥

といった判断をするのが基本だ。
そして迷ったら天罡辰の下を目指せば何とかなるというのもある。この使い方は『破軍星の繰りよう』あるいは奇門遁甲の『天馬太冲』と同じだ。私見では春分点の移動の結果、破軍星が指すはずの秋分点が卯から辰に移動した結果、指斗法と天馬太冲の2つになったと考えている。なので六壬者としては天馬太冲ではなくて指斗法を使うべきだと考えている。

ところで指斗法で丑辰未戌を速いと判断することに違和感を感じた人、あなたは鋭い。しかしこれで合っている。理由は教えない。

なお指斗法で3択の射覆を当てることができた。

失物占

免許更新の葉書

そろそろ自動車の免許更新なんだけど、送られてきた更新通知の葉書が見つからない。
無くしたとしても更新手続きはできるだろうけど、やはり見つけておきたい。この辺りに置いたはずの場所を念入りに探してみたけれども見つからない。

仕方なく六壬に問うてみた。「免許更新の葉書は何処にありや?」
三課支上神に父母となる大衝(卯)が出ている。探しているのは葉書で文書の類であり六親の父母は文書でもあるので、この課式には験があると見てよいだろう。大衝には移動の象があるので、免許更新通知の葉書としてピッタリだ。

重審課ではあるけれども、連珠格進如で末伝が午と一番明るい所に来ているので出ると見てよいだろう。

三課に探しているものが出ているので四課がしめす所が在処ということになる。四課の辰は袋物の象があるので、普段移動の時に背負っているリュックを探してみたところ無事に見つかった。

そういえば、ここに置いてしまうと行方不明になりそうと考えて、リュックに入れたのだった。失物を占って度々見つけているけれども、自分の物だからある程度カンが働くのだと思う。他人の失物だとこうは行かないだろう。

金行とは

金行は少しだけヤヤコシイと思う

個人的に金行はそのカバーする範囲が他の四行と比べて広いと思っている。以下は金行についての個人的なマトメだ。

第一義としての“Metal”
まずは金属ということで、
  • 同義反復だけど金属
  • 金属光沢
  • 導電性
  • 可塑性
  • 刃物
などがあげられるだろう。金行の別名『従革』は可塑性から来ている。
導電性からの派生
導電性から幾つか出てくる。
  • 電気機器
  • 電流、電圧
  • 稲妻などの電気による現象
こんなところだろうか。電離気体であるプラズマも入れることができるかもしれない。
刃物からの派生
刃物からは切断が出てくる。それに関連して、
  • 出血
  • 切り合い
  • 外科手術
  • 切断面
などが出てくる。最後の『切断面』から、境界、インターフェイス、内外の区別といったものが派生してくる。

この境界や内外の区別は重要で、中医学では皮膚や肺が金行に配当されていることは記憶しておいた方が良いだろう。

オカルト的な観点からは、恒星天を出発した魂は土星天を通過することで固定化され、木星天を通過して拡大し、火星天を通過して自他の区別を知るとされている。なので火星と対応する十干として庚をあげることは可能だろう。さて以下だけど、

大アルカナの“The Emperor”はその玉座のひじ掛けに羊の頭があしらってあることから分かるように白羊宮のイメージが背景にある。なのでルーラーの火星に対応可能な『庚』はギリあるとは思うけれども、『戊』はさすがに無理があると思う。

なお金行が司る西の守護神は白虎なのだけど、虎は1日に千里行って千里帰るとされることから、白虎には交通の象がある。

二五八

麻雀の話ではありません

紫白九星の定位だと、坤宮に二黒土星中宮に五黄土星、艮宮に八白土星と3つの土の星が並んでいる。3つの土の星の中で吉星なのは八白だけで、二黒も五黄も大凶の星だ。五黄は五黄殺があるくらいには大凶だし、二黒も坤宮が定位で奇門遁甲の死門と定位を同じくしているので本来は大凶の星だ。

説卦伝での小成八卦と方位の対応付けで、坤卦には明示された方位が無いことから残った南西と中宮の両方を坤卦が支配していると仮定すれば、二黒は五黄の亜種とも言える。

さてこの二五八のラインだが、二黒中宮の時は八白に五黄が入り、八白中宮の時は艮宮に二黒、坤宮に五黄が入ることになる。

ということで、この二五八のラインは3年ごとに坐向で使えない。このことから私が学んだ妙派の風水では二五八のラインを嫌い、使わないことが推奨されている。

天候占

雪ということで占った

昨日の2月5日は、占いカフェバーの燦伍で待機だった。雪が降るということで、往復に支障がないかを占ってみることにした。

私の場合、天気に関してはほぼ三伝しか見ない。初伝が日干を生じているので六親が父母となっている。父母には衣服のように身体にまとわりつく物という意味があり、シトシトと降る雨や雪の意味がある。

ただし初伝は午と暑いので雪ではなく雨と見るべきだろうけど、乗じているのが天空なので往路は降ってないということになる。

中伝は丑に天后が乗じている。丑は冬至から始まる磨羯宮でもありこれに天后が乗じているのは確実に雪をしめしている。燦伍で待機中に雪になると考えてよいだろう。

末伝も申(伝送)なので雪という感じではない。ということで無事に往復できそうと考えてよいだろう。それで「降るには降るけど大したことなさそう。」と tweet したのだけど、これは言い過ぎだった。若干、占的が転移していて、末伝の申は交通の象を持つ白虎の本地ととらえて、勾陳が乗じていることから、交通機関に遅れが出ていると捉えるべきだった。ただ遅れても、干上神には日徳、支上神に日禄が出ているので、帰宅に支障がなさそうと見ることができる。

さて、燦伍で待機中に天気予報を見ると大雪の予報だった。明日の予定もあるので、今後の天気ということで占ってみた。

初伝が亥(徴明)で、雨水からの月将で水行ということを考えると、雪をしめしているのだろう。中伝にはまた天后が乗じていて日鬼なので関東平野としては災害レベルの大雪と予想できる。それで「かなり降る感じで、明日朝は交通に障害が出そう。」と tweet した。

燦伍の方も予定通り20時で撤収することにした。結構な降りだったけれども麻布十番を出て自宅の最寄り駅に着いた時は小康状態だった。バスを待っている間にまた降りが強くなったけれども、遅れてきたバスに乗ることができて無事に帰宅した。

その後は予想通り雪が降り続いて、朝は幾つか通行止めの道路もあったりしたので、どちらの占いも概ね当たったんじゃないかと思っている。調子に乗って「大したことなさそう」とか言わなきゃ良かった。

さて待機中「雪だし、お客さん来ないんじゃないか」と思って易を立てたら、履三爻を得た。

もうこれは占的が転移したとしか考えられなくて、卦が「客が来るかどうかより足元を心配しろ。ちゃんと踏みしめて歩かないとすっころぶぞ」と言っていとしか考えられない。

『履』は草履の『履』で踏むことをしめしている。案の定、燦伍を出る時に外の看板の回収から戻ってきたオーナーの千田先生から「階段、雪なので気を付けて下さい」と言われた。卦の『履』を噛締めて用心しながら歩いた御蔭で転倒することなく帰宅できたのだった。