蛤、辰、蜃気楼

二枚貝象形文字

先日『申』字が稲妻の象形文字という『稲妻、申、電、神』のエントリを上げたけれども、同じように象形文字から出発して、多義性が限界を越えて偏や冠で字義を限定した文字が作られた文字が、十二支には『申』の他にもある。『辰』がそれだ。『辰』は二枚貝がクチを開けて足を出してる様から作られた。辰-Wiktionaryには、こう書かれている。

二枚貝から、びらびらとした肉がのぞく様。「蜃」の原字。唇(びらびらとした肉)、振・震(ぶるぶるふるえる)など同系。

辰の多義性から、本来の二枚貝の意味を持つ『蜃』が作られたというわけだ。

中国では蜃気楼は大蛤が吐く気から出来ると考えられていたので、

蜃(蛤)が吐く気で出来る楼閣

ということで『蜃気楼』の語が出来上がった。日本でも『蜃気楼』には“かいやぐら”の訓がある。

Wikitionaryでは、辰が十二支に組み込まれた理由を、

動植物が奮い立つ様から十二支の5番目(5月 初夏)にあてられた。

と書いてるけど、私は全然信用していない。本当の所は忘れられていると思う。そして命獣に竜*1が配当された理由なんて誰も覚えちゃいない。

後、辰が二枚貝なのを知っているので『震』が雷というのも対応付けにごくわずかな間がある。これも雷鳴で空気が震える所から来ているのは間違いないと思っているけどね。