『貞凶』、『貞吝』、『貞厲』

易経の爻辞には、『貞凶』、『貞吝』、『貞厲』を含む爻辞がある。全てチェックしてみた。ところで『凶』は凶としか言いようがなく、『吝』は訓読みでは「お(しむ)」だが、通常は「面倒なことがある」と解される。『厲』は研磨の意味の「と(ぐ)」という訓をもっているが、通常は「あやうい」と解されている。

『貞』に『正しくあれば』みたいな意味づけをしたうえで、これらを上手く解釈できるとは思えないのだが。上手く解釈できたとして、『貞吉』の読解と整合性の取れる解釈になっているのだろうか?

説文解字*1や考古学の成果を取り入れて、素直に『問う』と解釈して『とう』と読むのが何故善くないのだろう?

例によって原文は雨粟荘さん易経からお借りした。『文字鏡』を使っていて画像データとなっている文字で、ユニコードでコードポイントのあるものは、それで置き換えた。

屯九五 屯其膏。小貞吉、大貞凶。
師六五 田有禽。利執言无咎。長子帥師。弟子輿尸貞凶。
隨九四 隨有獲。貞凶。有孚在道以明何咎。
剥初六 剥牀以足。蔑貞凶。
剥六二 剥牀以辨。蔑貞凶。
頤六三 拂頤。貞凶。十年勿用。无攸利。
恒初六 浚恒。貞凶。无攸利。
巽上九 巽在牀下、喪其資斧。貞凶。
節上六 苦節。貞凶。悔亡。
中孚上九 翰音登于天。貞凶。


泰上六 城復于隍。勿用師。自邑告命貞吝。
恒九三 不恒其徳或承之羞貞吝。
晉上九 晉其角。維用伐邑。厲吉无咎。貞吝。
解六三 負且乘。致冦至。貞吝。


訟六三 食舊徳、貞厲終吉。或從王事无成。
小畜上九 既雨既處。尚徳載婦貞厲月幾望君子征凶。
履九五 夬履。貞厲。
噬嗑六五 噬乾肉。得黄金。貞厲无咎。
大壯九三 小人用壯。君子用罔貞厲。羝羊觸藩。羸其角。
晉九四 晉如鼫鼠貞厲。
革九三 征凶。貞厲革言三就有孚。
旅九三 旅焚其次喪其童僕貞厲。

*1:10月17日訂正。理由については『訂正』のエントリを参照。