君子なら豹変しろよ

ちょっとした調べ物で久しぶりに小飼弾さんの“404 Blog Not Found”を訪問した。そしたら直近のエントリである“If you can't beat them, join them.”に『君子は豹変す ⇔ 豹変しなけりゃ君子じゃない。』とあった。

小飼弾さんが唐突に株式会社VALUのリードエンジニアに就任したことの御報せのエントリだったので、弾さんが自分を君子になぞらえているのだろう。近年の『君子豹変』は「普段は君子面しているヤツが急に下衆な態度を取る」と理解されているので、ちょっと茶目っ気を出したということでもあるのだろう。

しかしこの『君子豹変』は易経の革の爻辞からきたもので、本来の意味はまるで逆だ。原文をあげておく。

上六、君子豹變。小人革面。征凶。居貞吉。

原文は雨粟荘さん易経下経から御借りした。句読点も雨粟荘さんが付けられたものを使っている。読み下しとしては、

上六、君子は豹變す。小人は面を革(あらため)る。征くは凶。居の貞(と)いは吉。

くらいか。意味としては、

上六、君子は豹が冬毛に生えかわるように劇的な変化をするが、小人はツラを拭っただけで終わる。征伐に出るのは凶。出ないことについての問いであれば吉。

といったところか。『君子豹変』は本来の解釈では、君子は大きく変化することを否定しない、ないし、大きく制度を変化させる、が採用されている。

なので『君子豹変』の対偶命題『豹変しなけりゃ君子じゃない』は、本義にもどると全然茶目っ気が効いてない、つか、君子なら豹変しろよ。