忘れられない失物占

マフラーがない

正月が来ると決まって、まだお元気だった頃の鮑黎明先生の所へお年始の挨拶に伺った時のことを思い出す。娘達はまだ幼女だったので20年以上前のことになる。

娘2人と一緒に出かけて、待ち合わせで少し時間を潰すことにして新大久保の駅のすぐ隣のマクドナルドの2階で軽く食べてから、鮑先生のお家へ行った。占い好きの連中は鮑先生と様々に話をして、娘達はお嬢さんが相手をして下さった。

さて帰ろうとした時、次女のマフラーが無いということで散々探したのだが見つからなかった。私はざっと六壬の課式を立てて、見つかるからとりあえず帰ろう、お母さんも待ってるから、と次女をなだめて帰路についた。その時の課式が以下になる。

癸丑の五重日なので一課、三課と二課、四課が同じになる。一課の朱雀は離の象で次女、三課の朱雀は羽毛の類でマフラーということだろう。赤いマフラーで、この場合は日干癸が旺じているので、巳の火行の色で赤いマフラーということが好く出ている。

発用に酉の天空が立っているので、父親である私の不注意ということだったのだろう。発用が天空とはいえ父母、干上神も妻財であり、末伝に徳神があるということは出るということになる。もっともこの当時はこういう見方ができていなかったのだが、出ると判断した。

新大久保の駅まで歩いている途中で、マクドナルドに寄ったことを思い出した。でダメモトでマクドナルドでマフラーの忘れ物がなかったか聞いた所、これでしょうか?と赤いマフラーが出てきた。鮑先生に、マフラー、出てきました、お騒がせしました、と一報を入れた。この失物占の御蔭で先生から「少しはできるみたいだな」という評価を頂いたのはかなりの財産になった。

その鮑先生が亡くなってから、今年で6年になる。