皇極經経世書と東日本大震災

先日あげた『東日本大震災と占い師』のエントリで、以下のように述べた。

今ある占いのシステムのほとんどが長くて10年を1単位としているわけで、1000年に1度の事象を占うのには適していないわけだ。

梅花心易や鉄板神数で有名な、邵雍*1は、皇極經世書で、元、会、運、世といった長大な時間のシステムについて述べている。そして各時間に干支と易卦を付与した。

  • 1世=30年
  • 1運=12世=360年
  • 1会=30運=360世=10800年
  • 1元=12会=360運=4320世=129600年

余談だけど、原発からの放射性廃棄物の貯蔵期間は2元くらいということになる。人間の文明は1元の間に生まれて消えるとされているわけで、気が遠くなるよね。

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閑話休題。皇極經世書によれば、2011年はまだ庚午会乙亥運である。この乙亥運は、1654-2103までの360年間に相当する。庚午会の7-12運に付与された易卦は大過となっており、、乙亥運は12番目なので上爻変となる。

つまり乙亥運に付与された易卦は、

大過上爻変之姤

ということになる。爻辞は、

上六、過渉滅頂、凶无咎。

私なら

過ぎて渉るに頂き滅す、凶にして咎无。

と読み下して、

多少の高い所を越えて津波が内陸まで入り込んでくる、被害者に咎がなくても凶である。

という解釈を得るだろう。東日本大震災津波が世界的にも巨大で、津波が川を経由してその堤防を越え、周辺一帯を呑みこんでいった動画はまだ記憶に残っている。

つまり皇極經世書は、庚午会の乙亥運を、津波を含む巨大な水害の期間と予測していると考えることができるだろう。さて、この東日本大震災と良く似た地震が869年に発生した貞観地震である。この869年は今の乙亥運から3運遡った庚午会壬申運(664-1023)になる。壬申運は庚午会の9番目の運なので、本卦は大過で三爻変となる。爻辞は、

九三、棟橈、凶。

読み下すだけで意味が取れるだろう。

棟撓む、凶。

この爻辞からプレートの歪が限界というイメージが浮かぶのは筆者だけではないだろう。ところで、大過の爻辞を並べてみると、

初六、藉用白茅、无咎。
九二、枯楊生稊、老夫得其女妻、无不利。
九三、棟橈、凶。
九四、棟隆、吉、有它吝。
九五、枯楊生華、老婦得其士夫、无咎无誉。
上六。過渉滅頂。凶无咎。

となるが、この6個の爻辞の中ではっきり『凶』なのは、三爻と上爻だけであり、世界的な規模だったのは、貞観地震が発生した壬申運*2東日本大震災の乙亥運*3だけであったということになる。

これらから皇極經世書は世界規模の巨大な災害といったものを予測していると考えることができる。しかし1運は360年あり予測できていたとしても防災の役には立たないだろう。そこで更に時間幅を絞って行くことを試みる。

乙亥運の易卦は大過の上爻が変じた姤である。易卦には6爻あり1運は12世であるから、1-2世が初爻、3-4世が二爻、5-6世が三爻、7-8世が四爻、9-10世が五爻、11-12世が上爻、それぞれで爻変する。さて2011年は、1984-2013年を支配する甲申世に属している。

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乙亥運は丙子世から始まるので甲申世は9番目ということになる。従って甲申世の易卦は、

姤五爻変之鼎

爻辞は、

九五、以杞包瓜、含章、有隕自天。

天変、特に落下物のありそうな60年間だが、先を急ぐことにする。

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甲申、乙酉世の60年間が6個の爻に対応するから、1爻が10年間に対応する。2011年は甲申年(2004年)からの10年間となる。甲申年は3番目の10年間ということになるので、鼎の三爻変で之卦は未済となる。未済は全ての爻が不正な位置にあり、アンバランスな意味を持っている。さて鼎の三爻の爻辞は、

九三、鼎耳革、其行塞、雉膏不食、方雨虧悔、終吉。

意味合いとしては、こんなところだろう。

鼎の耳が取れてしまって持てない、高価な食糧はあるが(鼎が使えないので)食べることができない。雨が降ろうとしているが悔を欠く、終わりは吉。

世界的な震災からの復興を読みとることはできるだろう。

ただ気になるのが、2014年から始まる乙酉世の最初の10年で、これは鼎の四爻変となる。鼎の四爻の爻辞は、

九四、鼎折足、覆公餗、其形渥、凶。

と、鼎の足が折れてひっくり返る形なので、巨大地震の象かもしれない。あるいは、世界経済の破滅か?

*1:諡の康節で知られている事が多い。

*2:この壬申運には他にも900年に発生したスマトラ島沖地震による巨大津波があった。→参考

*3:この乙亥運には他にも津波で知られる世界的な地震として、2004年12月26日のスマトラ島沖地震2009年09月29日のサモア沖地震等がある。