トロピカルとサイデリアル

インド占星術では、黄道十二宮の起点が恒星天上に固定されている、サイデリアル方式を採用している。これに関して、Wikipedia - 西洋占星術#十二宮には以下の記述がある*1

一般的な西洋占星術では、天の赤道黄道の東側の交点である春分点から、十二宮の起点である白羊宮を始めるトロピカル方式を採用している。ゆっくりとした地軸の味噌擂り運動である、歳差運動によって、それぞれの宮(サイン)の天の配置は既にギリシア時代にサインの指標とされた星座に一致しなくなっている。西洋占星術師の中にも、サイデリアル方式を採用することで占星術創成期のサインと指標の星座との一致を試みる動きもある。

このようにサインと季節には対応関係があり、例えば春の最初のサインである白羊宮は、春分から穀雨直前まで太陽が位置するサインである。「暑さ寒さも彼岸まで」というように、通常は白羊宮に太陽が位置する期間から気温が上昇したということが実感できる。そのため白羊宮は火つまり熱く乾燥したサインであり活動宮として捉えられており、またその性質が牡羊の持つ突進力になぞらえられている。続く金牛宮は地のサインの不動宮であり気温の上昇が緩やかになってきていることに「対応している。そして春のサインの最後である双児宮が変動宮であり、夏への転換点となっている。

サイデリアル方式を採用すると、星座としての牡羊座とサインである白羊宮を一致させることができるが、現在、春分点は星座としての魚座にあるため、太陽が牡羊座に来るまで待つと、白羊宮と対応する季節からずれることになる。なんか、サイデリアルの方が科学的だと頑強に主張する人もいるみたいだが、サイデリアルかトロピカルかは星座を取るか季節を取るかとということで、多分に術者の好みの問題でしかない。

*1:私の加筆も含まれている。ちなみにWikipediaの西洋占星術の項目は、2007年秋の加筆コンクールで入賞した。