3進数の優位性について補足

3進数のコスパ

前回のエントリで3進法計算装置の優位性について『三進法#経済性-Wikipedia』から引用する形で触れたけれども少し補足しておきたい。

計算装置内で扱うことができる最大の数をMとする。MN進記数法で表現した時に必要となる桁数は大まかに\log_NMということになる。ここでN進1桁を扱うためのコストがNに比例するとすれば、Mを表現するコストはN×\log_NMということになる。ここで自然対数を\lnで表すと、

N×\log_NM = N×\Large{\frac{\ln M}{\ln N}} \normalsize{= \ln M ×} \Large{\frac{N}{\ln N}}

となる。\ln MNと独立なので、Mを表現するコストは\frac{N}{\ln N}に比例することになる。ここで\frac{N}{\ln N}をN進数データ維持コスト指標としてNに対してプロットするとこうなる。
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Nが最小となるのはNネイピア数eの時で、整数としては3の時が最小になる。つまり3進法計算装置が一番コスパが良いことになる。2進数の指標と3進数のそれを比較すると3進数の方が5~6%小さい。3状態の素子とその状態を高速でスイッチできる回路があるのなら3進法のコンピュータ作ってみたいと思わないでもない*1

昔、FFORTUNEで専門家から「シャノンの定理で3がeに一番近いので3進法計算装置が一番高効率になる」と聞いたのだけど、『シャノンの定理』は計算装置の効率についてのものではなかった。色々調べていたらWikipediaの『三進法』に行き当たった。多分、3進法計算装置が一番高効率というのは一番コスパがよいということだったのだろう。シャノンの定理から出てきたものではなかったけれども……

*1:実際に作られたこともあるそうだ→Setun-Wikipedia