数秘術の根っこの部分

単数化

数秘術では単数化とよばれる手法がよく用いられる。これは、

  1. 元の数(10進数)の各桁の数字を足し合わせる。
  2. 足し合わせた結果が10を越えていた場合は1の手順に戻る。

を行って最終的に1~9の数を得るというものだ。
ここで単数化について考察してみる。10進m+1桁の数A_m A_{m-1} A_{m-2}\cdot\cdot\cdot A_1 A_0を考えてみる。
この数は、

\sum_{i=0}^m 10^i\times A_i

と書き表すことができる。この式を変形する。

\sum_{i=0}^m 10^i\times A_i = 
\sum_{i=0}^m (10^i\times A_i -A_i + A_i) \\
=\sum_{i=0}^m \{(10^i\times A_i -A_i)+A_i\} \\
=\sum_{i=0}^m (10^i-1)\times A_i +\sum_{i=0}^m A_i

右辺2項が各桁の数の総和になっている。ここで10-1=9,\, 10^2-1=100-1=99\,\cdot\cdot\cdot\cdot ということを考えると10^i-1は必ず9の倍数となっている。なので10^i-1は9で割り切ることができる。これを少しもったいぶって言うと10^i-1は9を法として0に等しいということになる。式で表現すると、

10^i-1\equiv 0\,(mod\,\, 9)

となる。これをA_i倍しても変わらない。

(10^i-1)\times A_i\equiv 0\,\,\,(mod\,\, 9)

なのでiで総和をとっても0ということになる。

\sum_{i=0}^m (10^i-1)\times A_i\equiv 0\,\,\,(mod\,\, 9)

なので、9を法とすると元の数と各桁の数の総和は等しいということになる。

\therefore\,\sum_{i=0}^m 10^i\times A_i \equiv \sum_{i=0}^m A_i \,\,\,(mod\,\, 9)

なので\sum_{i=0}^m A_iが2桁を越えてB_k B_{k-1} \cdot\cdot\cdot B_1 B_0となっても、その各桁の総和\sum_{j=0}^k B_jは9を法とすると元の数と等しいということになる。

つまり単数化というのは元の数を9で割って余をとる操作と本質的には変わらない。異なっているのは、9で割り切れて余が0の時には0でなく9とするという部分だけだ。

ここで10進数を一般化してN進数としても同じことが起こる。N進数の世界での単数化は、元の数をN-1で割って剰余を求める、剰余が0の場合はN-1を単数化の結果とする、ということになる。

すると2進数の世界では面白いことが起こる。2進数の世界でN-1は1であり、1で割り切れない数はない。つまり2進数の世界で単数化を行うと、必ず1が返ってくることになる。ということは2進数の世界には吉凶もなければ象意もないということになる。

3進数になると1と2の二つの結果が得られる。どっちかが吉で他方が凶だろう。もし3進数を基本とした高速スイッチング回路が得られて、それで計算機を作ると2進数よりも高効率が予想される。もっとも3進数では吉凶があるので、計算結果が吉になるように余分な桁を付け加えて調整する必要がありそうだ。