運を乗りこなすには

王様の仕立て屋

本日発売のグランドジャンプに連載されている『王様の仕立て屋』を読んで色々考えた。『王様の仕立て屋』はグランドジャンプでずいぶん長く続いている連載で、テーラー織部悠が主に紳士服を仕立てることで、依頼人の問題を解決してしまう話だ。今回の依頼人は老舗の料亭の若主人で、経営を立て直そうとしている過程で新規顧客の獲得は上手く行っているのだが、旧来の御贔屓筋が店から遠ざかっているという問題を抱えている。次に開かれるパーティで旧来の御贔屓筋にアピールするためのスーツを仕立てて欲しいという依頼だった。

主人公の織部悠は当の若主人と店の雰囲気を確認しながら、若主人に着こなしについてのレクチャーをして行く。老舗の料亭の主であるなら、着こなしにおいて多少の洒落気が必要であるとして、ポケット・チーフ等の細かい点を指摘して行く。その洒落気が織部が仕立てたスーツと相まって懐の深さを生み出し旧来の御贔屓筋が戻ってくる切っ掛けとなる,そんな話だった。

王様の仕立て屋』全体を通じて織部は非常に細かく人と人が来ている服を観察し、人が抱えている問題点の本質を読み取って行く。中医学の達人が問診と脈診で病気の根源を読み取るようにだ。そして『処方』として服とその着こなし方が提示される。多分、処方の本質的な部分は実は着こなし方であり、着こなしの背景となる目的のための雰囲気作りへの積極性と雰囲気を作り出すための基本的な思考の部分ではなだろうか。

大石真行さんの『#運勢コスパ』を読むと開運のための細かいテクニックが豊富に載せられているけれども、結局のところ「開運したいという強い決意」が無い状態では、それらのテクニックは役に立たないわけだ。開運したいという人に開運法を提示することは、開運への積極性が必要であることを理解させ、積極性を持たせることと相まって開運につながるのだろう。

多分、私が開運法を幾つか使っても大した実感がなかったのは、運を乗りこなそうという意志にかけていたからなのだろう。