ASCの挙動

数学とか物理とかやっていると、極端な状況での事象の理解から、通常の事象の理解が深まることが時々ある。また新しい発見とその理解から、それまでの理論が新しい理論の極限状況として組み込まれるといった過程を経るのは通例といって善いだろう。

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ASCの挙動

で、西洋占星術の極端な事象の一つに、北緯66.6度におけるASCの挙動がある。北緯66.6度では恒星時が18時になると天球に投影した地平線と黄道が一致してしまう。

現代の占星術ではASCは黄道と地平線の東の交点なので、黄道と地平線が一致してしまうとASCは計算できなくなってしまう。そこで緯度を66.6度に固定して、恒星時を18時の前後から18時に近づけて行くとか、恒星時を18時に固定して緯度を66.6度に近付けて行くといった方法で、北緯66.6度における恒星時18時のASCを極限として理解しようとしたわけだ。

計算結果は出るものの最初は統一的な理解ができなくて迷ったのだが、結局は図にしめしたようになる。黄道が地平線に近づくに従って、黄道と地平線の交点は地平線と子午線の交点に接近して行くことになる。一方、恒星時が18時ということは春分点は必ず東の地平線上にある。恒星時18時のMCは緯度が66.6度に近づくに従って磨羯宮の0度に接近して行くことになる。

つまり緯度66.6度では恒星時が18時に接近するに従って、MCとASCが共に磨羯宮の0度に接近して行くことになる。しかし、恒星時が18時の瞬間には春分点が真東の地平線上にあるので、ASCはMCから分離して白羊宮の0度に跳躍してその次の一瞬には巨蟹宮の0度付近にまた跳躍することになる。

こういう状況ではハウス分割が上手く行くとは考えにくい。こういう状況が発生するということは、現在主流となっているASCを1室のハウス・カスプ、MCを10室のハウス・カスプとする、クォドラントなハウス分割方法になにか致命的な弱点があるのではないだろうか?という疑問がわいてくる。ただASCは重要な感受点の一つではあるだろうとも考えているので、この状況をどう理解したら善いのかには結論が出ていない。

しかしながら北極圏を含む北欧圏の住人が中緯度帯の住人と運勢的に極端に異なっているということは考えにくい。例えばスェーデンから日本にやってきたオーサ・イェークストロムさんは、13歳の時にTVでセーラームーン*1を見てマンガに興味を持つようなった、ある意味普通の女の子だ。なので中緯度帯でも高緯度帯でも共通して使うことのできるハウス分割の方法があるのは間違いないだろう。

*1:そういえば昨日の18:30からNHKのBSでセーラームーンの再放送が始まった。