何かは諦めないといけない
近代占星術におけるハウス分割は、ASCが1室の、MCが10室のハウス・カスプとなるようにquadrantなハウス分割を行っている。そして、次の2つに大別される。
- Campanusを典型とする空間的なハウス分割
- Placidusを典型とする時間的なハウス分割
ASCは地平線と黄道の東側の交点*1、MCは子午線と黄道の上方の交点*2になる。つまりASC-DSCやMC-ICは出生地でもある観測地点を特徴付けるポイントを使って黄道を分割するのがハウス分割ということになる*3。なのでquadrantにハウス分割したいという動機はよく分かる。
しかしながら、ASCとMCの黄道上での角度が90°になる保証なんてまるで無い。結果、あるハウスはサイン1個以上の広がりがあることがあり、あるハウスはサイン1個よりも狭くなったりする。これは高緯度になる程ひどくなってきて1つのサインに複数のハウスが押し込められるようになってくる。じゃあ高緯度帯で生まれた人は中緯度帯で生まれた人間と比べて極端な特質を持っているかというと、例えばスウェーデン出身のオーサ・イェークストロムさんは、少女時代にアニメのセーラームーンの影響を受けてマンガ家になった方で、日本人の少女とそんなに異なっているわけではないと思う。では、equal houseやwhole signのハウスの広がりが一定のハウス分割を行うとどうなるかというと、quadrantなハウス分割ができなくなる。
結局、何かは諦めないといけないというのがハウス分割というものだ。
まあ私は六壬者なので『常以月将加占時』のハウス分割がいいんじゃないかと考えている。このハウス分割はMCのあるサインが10室になるようなwhole signのハウス分割だ。で、ASCやMCは重要な感受点として扱う。
ASCやMCは重要な感受点として扱うが、ハウス分割には絡めないことを基本原理とすると、別のハウス分割も見えてくる。例えば当代の銭天牛先生が先代の著作に加筆訂正を行った『続 ザ・占星術』で解説されているソーラー・システムだ。これは太陽のあるサインを1宮*4とするwhole signのハウス分割だ。
単なる太陽占星術の拡張じゃんと言いたい人もいるかもしれないど、ソーラー・システムのハウス分割でもかなり当たるよ。