吉方歩きの補正項

2011年09月12日追記
以下の考察はメルカトル図法の投影法についての無知が原因で、全く正しくありません。申し訳ありませんでした。



方位計算の搦手で考察したように、実際の移動する場合は途中はどうあれ、等角航路でしめされる方位に移動したのと同じことになることがわかった。

等角航路が簡単に得られる地図として代表的なものは、メルカトル図法で作成した地図である。緯度が\theta、経度が\phiの地点は、\theta\phiラジアン単位とすれば、縮尺を考えないとすると地図上の\(\phi ,\tan\theta\)の位置に投影されることになる。

ここで地点A\(\phi_1 ,\tan\theta_1)から地点B\(\phi_2 ,\tan\theta_2)に移動することを考える。ここで移動の方位を東の方向を基準にして正の角度で考える。移動の方位\xiについて以下の式が成立する。

\tan\xi = \frac{\tan\theta_2 - \tan\theta_1}{\phi_2 - \phi_1}

ここで吉方歩きのような近距離の移動について上式をそのまま適用しようとすると、分子の計算で桁落ちを心配しないといけなくなる。そこであまり桁落ちを考えなくてすむように式を変形することを考える。

分子を\Delta y、分母を\Delta xとすると、\Delta yについて以下の計算ができる。

\Delta y=\tan\theta_2-\tan\theta_1\\ \hspace{24} =\frac{\sin\theta_2}{\cos\theta_2}-\frac{\sin\theta_1}{\cos\theta_1}\\ \hspace{24} =\frac{\sin\theta_2\cos\theta_1-\cos\theta_2\sin\theta_1}{\cos\theta_2\cos\theta_1}\\ \hspace{24} =\frac{\sin\(\theta_2-\theta_1\)}{\cos\theta_2\cos\theta_1}

ここで角度がラジアンで表されているため、近距離の移動においては以下の式が成立する。

\sin\(\theta_2-\theta_1\) \hspace{5} \tilde{-} \hspace{5} \theta_2-\theta_1

従って\xiについて以下の式が得られる。

\tan\xi \hspace{5} \tilde{-} \hspace{5} \frac{1}{\cos\theta_2\cos\theta_1}\frac{\theta_2-\theta_1}{\phi_2-\phi_1}

さて吉方歩きなどで使用するだろう50,000分の1の地図などでは、緯度と経度についての変化が同じ比率になるように投影されている。そういった地図から計算される移動の角度を\large\xi'とすると以下の式となる。

\tan\xi' =\frac{\theta_2-\theta_1}{\phi_2-\phi_1}

となる。つまり等角航路の方位として移動の方位を算出するためには\frac{1}{\cos\theta_2\cos\theta_1}の補正項が必要になる。

都市 緯度 補正項
札幌市 北緯43°03′ 1.87
東京 北緯35°42′ 1.52
大阪市 北緯34°40′ 1.48
福岡市 北緯33°35′ 1.44
鹿児島市 北緯31°36′ 1.38

この補正項を日本の代表的な都市について\theta_1\theta_2も変わらないとしてザッと計算してみると表のようになる。基本的にメルカトル図法では、極に近づく程南北に引き伸ばされて表示されることになる。表から北海道でも赤道近辺の役2倍に引き伸ばされて表示されることになる。東京と大阪では緯度がさほど違わないので補正項もそんなに違わない。

この南北に引き伸ばされた表示は、直感的な方位とは異なった方位を与えることになる。直感的な方位は、東西と南北で同じ縮尺が前提となっているからだ。そこでメルカトル図法の地図における東方向への45度の広がりが、直感的な方位ではどうなっているかを計算してみることにする。東京で計算するとほぼ30.5となる。これは大阪でもさほどかわらない。

つまり大阪から東京に東から北へ16度以上の角度で移動すると、その角度が22.5度よりも小さくても震方ではなく艮方をとったことになってしまう。ということで、吉方歩きでも補正項による直感的な方位からのズレ、多分Google Mapでも同様だろうけど、は無視できないことになる。

以下に東京での八方位が直感的な方位とどれくらいズレがあるかをしめしておく。