世界最古の密室殺人事件

そして探偵は御姫様

先日のエントリであげた『天城一の密室犯罪学教程』だけれども、これに収録された『密室作法』の古い版に、世界最古の密室殺人事件の大まかな顛末が載っていたので一度読んでみたいとずっと思っていた。『天城一の密室犯罪学教程』の密室作法[改定]の章によるとヘロドトスの『歴史』に記録されていると分かった。amazonで検索したらkindle版があったので購入した。その最古の密室殺人事件は『ヘロドトス 歴史 上(岩波文庫)』に収録されていた。エジプトについて書かれた『巻二(エウテルペの巻)』の121からが、その世界最古の密室殺人事件の記録になっている。

最初からトリックのネタが全開なので推理小説として読むものではないけど、少しそそるような紹介の仕方をすると、

  1. エジプトの王が、一方の壁が屋敷の外塀の一部を成すような形態の宝物庫を石造で造らせた。
  2. ところが封印してあった宝物庫が盗難にあっている気配がある。
  3. そこで王は宝の周囲に罠をはった。
  4. 罠にかかった首の無い盗賊の死体が発見された。
  5. 王は首無し死体を晒しものにして、死体を取り返しに来た者を捕縛する計画を立てた。
  6. しかし見張りが酔っ払っている間に死体は取り返されてしまう。
  7. 王は姫の1人を娼館に送り込んで寝物語からの捜査を命じる。
  8. 姫は犯人を見つけて、その腕をおさえるものの、おさえた腕は取り返された死体の腕だった。
  9. 王は犯人の智慧と度胸に感心して、罪を許し姫と結婚させた。

これ、書き様によっては物凄く面白い話になると思う。